在留資格の種類

企業内転勤


1.「企業内転勤」の概要

 「企業内転勤」の在留資格は、企業活動の国際化に対応し、人事異動により外国の事業所から日本の事業所に転勤する外国人を受け入れるために設けられた在留資格です。同一企業等の内部で外国の事業所から日本の事業所に一定期間転勤して、「技術・人文知識・国際業務」の活動を行うものが該当します。

2.「企業内転勤」の該当範囲

 日本に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が日本にある事業所に期間を定めて転勤してその事業所において行う「技術・人文知識・国際業務」の活動。

3.「企業内転勤」の基準

 申請人が次のいずれにも該当していること。

第1号

 申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において「技術・人文知識・国際業務」の業務に従事している場合で、その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国にその事業所のある公私の機関の日本にある事業所において業務に従事していた期問がある場合には、その期間を合算した期間)が継続して1年以上あること。

第2号

 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

4.「企業内転勤」の在留期間

1.在留期間5年

 次の①、②及び⑤のいずれにも該当し、かつ、③又は④のいずれかに該当するもの。

① 申請人が人管法上の届出義務(住居地の届出、住居地変更の届出、所属機関の変更の届出等)を履行しているもの(上陸時の在留期間決定の際には適用されません)

② 学齢期(義務教育の期間をいいます)の子を有する親にあっては、子が小学校、中学校又は義務教育学校(いわゆるインターナショナルスタール等も含まれます)に通学しているもの(上陸時の在留期間決定の際には適用されません)

③ 契約機関がカテゴリー1又はカテゴリー2に該当するもの

④ ③以外の場合は、「企業内転勤」の在留資格で3年の在留期間が決定されている者で、かつ、日本において引き続き5年以上「企業内転勤」の在留資格に該当する活動を行っているもの

⑤ 就労予定期間が3年を超えるもの


2.在留期間3年

 次のいずれかに該当するもの。

①次のいずれにも該当するもの

ア 5年の在留期間の決定の項の①及び②のいずれにも該当し、かつ、③又は④のいずれかに該当するもの
イ 就労予定期間が1年を超え3年以内であるもの

②5年の在留期間を決定されていた者で、在留期間更新の際に次のいずれにも該当するもの

ア 5年の在留期問の決定の項の①又は②のいずれかに該当せず、かつ、③又は④のいずれかに該当するもの
イ 就労予定期間が1年を超えるもの

③5年、1年又は3月の項のいずれにも該当しないもの

2.在留期間1年

 次のいずれかに該当するもの。

① 契約機関がカテゴリー4(カテゴリー1、2又は3のいずれにも該当しない団体・個人)に該当するもの

② 3年の在留期問を決定されていた者で、在留期間更新の際に5年の在留期問の項の①又は②のいずれかに該当しないもの

③ 職務上の地位、活動実績、所属機関の活動実績等から、在留状況を1年に1度確認する必要があるもの

④ 就労予定期間が1年以下であるもの


2.在留期間3カ月

 就労予定期間が3月以下であるもの

5.関係法令

6.ガイドライン等

該当なし

7.「企業内転勤」の申請に必要な資料

(1)認定証明書交付申請(海外からの呼び寄せ)

①申請の必要書類   「企業内転勤」での呼び寄せ(出入国在留管理庁HPへ)

②申請書フォーマット  【PDF形式】  【EXCEL形式】(出入国在留管理庁HPへ)

(2)在留資格変更許可申請

①申請の必要書類   「企業内転勤」への変更(出入国在留管理庁HPへ)

②申請書フォーマット  【PDF形式】  【EXCEL形式】(出入国在留管理庁HPへ)

  

(3)在留期間更新許可申請(「企業内転勤」の期間延長)

①申請の必要書類   「企業内転勤」の更新(出入国在留管理庁HPへ)

②申請書フォーマット  【PDF形式】  【EXCEL形式】(出入国在留管理庁HPへ)

8.「企業内転勤」のQ&A

 「企業内転勤」の審査基準に“同一企業等の内部で外国の事業所から日本の事業所に”という要件があり、「同一企業等」、「内部」、「日本の事業所」などの文言から、同一企業等ではない外部にあるクライアントの会社はその要件を満たさないとみなされます。

 また、「同一企業等」についても限定列挙されています。

(1)本店と支店間の異動

(2)親会社と子会社(孫会社を含む)間の異動

(3)子会社(孫会社及び曾孫会社を含む)間等の異動

 ただし、曾孫会社間の異動及び孫会社と曾孫会社間の異動をさせるためには、親会社が各孫・曾孫会社まで一貫して100%出資していることが必須です。

(4)関連会社への異動

 関連会社の定義は複雑なので説明を割愛しますが、一般的には一方が他方に対する議決権や出資金が20%以上50%未満の関係を指します。更に、関連会社の一方の子会社と他方間の異動も冒頭の要件を満たします。なお、同一会社の互いに議決権や資本金関係のない別の関連会社間の異動、及び親会社と子会社の関連会社間の異動は認められません。

 なお、クライアント先で勤務してもらいたい場合は、一般的にクライアント先が受入機関として申請人と労働契約を締結し「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を申請する必要があります。

 「企業内転勤」の審査においては「転勤」は、通常、同一会社内の異動であるが、系列企業(「親会社」、「子会社」及び「関連会社」)内の出向等も「転勤」に含まれる。及び申請人が転勤する直前に1年以上継続して勤務していたことが必要である。の2点が審査基準に定められています。 しかし、受入機関である「日本の公私の機関との契約」については何の制約もありません。そのため、申請人が受入機関との労働契約がなくともよいこととなり、そのことから当然に転勤者の給与を全て現地法人が支払うことが認められます。

 また、受入機関が申請人と労働契約を締結しないことは認められますが、逆に申請人と労働契約を締結することは受入機関の自由意思なので、労働契約があれば、転勤者の給与を全て受入機関が支払うことも認められます。実務上では、申請人が転勤元である現地法人と転勤先である受入機関の両方と労働契約を締結する例も多くあり、それに伴い転勤者の給与を現地法人と受入機関の双方が(割合不問)支払っても問題ありません。

 なお、いずれの場合においても、申請人が支払われる給与の総額は“日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上”という要件が課されています。また、日本での転勤期間中は現地法人と申請人との間の労働契約を終了させることはできません。

 「企業内転勤」には、「技術・人文知識・国際業務」に要求されるような学歴や職務経験などの要件はありませんが、従事することができる活動については、「技術・人文知識・国際業務」に規定される範囲と同一のものとなります。そのため、単純作業には従事させることができず、一般的に機械メンテナンスと呼ばれる職務に「企業内転勤」の在留資格で行うことはできない可能性が高いと言えます。

 入管法上で言う在留資格「研修」は非実務のみであり、逆に「企業内転勤」は実務でなければならず、非実務研修なら「研修」の在留資格を申請しなければなりません。一方、よく企業内部で“研修制度”というものを耳にしますが、こちらで言う“研修”は在留資格の「研修」と必ずしも一致するとは限りません。取引に係る業務や職務自体は「技術・人文知識・国際業務」に該当するものであれば、社内扱いは“研修”であっても、「企業内転勤」又は「技術・人文知識・国際業務」の申請を検討すべきです。  ご参考まで、「研修」と「企業内転勤」の要件上、主な相違点を表でまとめます。

主な要件 「企業内転勤」 「研修」
日本法人と海外法人との資本金関係 必要 場合によっては不要
申請人が海外法人に在籍した期間 継続して1年以上在籍中 在籍中であれば足りる
来日後に行う活動 「技術・人文知識・国際業務」に係る職務 いわゆる座学又は取引に係わらない学習等
実務か非実務か 実務 非実務
報酬 日本人と同等以上 日本で生活できる程度の手当でよい
日本に滞在できる期間 最大5年、更新可能、上限なし 3月若しくは6月又は1年、 『研修実施予定表』次第更新可能、上限計1年
他の在留資格に変更 可能 原則不可、研修終了後要出国

 まずは、給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の有無を確認する必要が御座います。御社を存続会社として合併をしているとのことですので、旧社名又は新会社の社名にて合計表を税務署に提出している可能性が非常に高いです。そして、合計表で御社のカテゴリーを確認後、通常通り、各カテゴリーで必要とされている資料をそれぞれ集めていくこととなります。

 なお、通常の申請との相違点としては、合併したことについて、その経緯等を記載した理由書をつけて申請ができれば非常に良いかと思います。その際、ホームページ等に子会社の記載があれば、そういったものを印刷して提出してもよいですし、資本関係のわかる資料(例えば、出資者リスト等)を提出し、資本関係が問題なく継続していることを改めて説明することも必要です。

 今回のケースでは、在留資格「企業内転勤」の要件には該当しないと言えます。現在および来日後の申請人の職務内容や労働条件等も併せて確認する必要はあるものの、「企業内転勤」の重要且つ基本要件の一つとして、「申請人は、日本に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業書の職員であること」というものがあるため、今回のように米国親会社の従業員でない場合は、米国親会社経由で申請人の派遣を行う場合であっても、「企業内転勤」に該当性はありません。

 他に、オプションとなり得る在留資格としては、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格がありますが、こちらは「申請人が日本の公私の機関との契約に基づいて行う活動に従事すること」という基本要件がありますので、申請を進める場合は、米国の親会社経由で派遣される場合であっても、申請人と貴社間で就労に関する契約を直接締結することが必要です。なお、こちらの契約には、雇用契約の他、委任契約や委託契約も含まれます。

 他の該当性のある就労可能な在留資格に変更が完了するまでは、貴社で就労頂くことはできません。前提として「企業内転勤」には以下のような活動が該当します。

 “日本に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、日本にある事業所に期間を定めて転勤して、その事業所において行う理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動(在留資格「技術」に相当)若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事する活動(在留資格「人文知識・国際業務」相当)。”

 つまり、所属する会社を退職した場合には、「企業内転勤」で求められる要件を満たさず、該当性が失われることになります。

 入管の審査基準によると、「企業内転勤」の申請にあたって会社間関係要件に関しては、子会社間等においては、子会社間(いわゆる兄弟会社)のみの転勤が該当するとされています。一方、同基準に“孫会社が子会社とみなされていることから、「企業内転勤」の対象となる”と規定されたため、子会社と孫会社間及び孫会社間の「企業内転勤」も認められています。

 更に例外として“親会社が各孫、曾孫会社まで一貫して100%出資している場合には、曾孫会社も子会社とみなすことができることから、曾孫会社間の異動及び孫会社と曾孫会社間の異動も「企業内転勤」の対象となる”とも明記されているため、それらの場合に留まらず、曽孫会社も子会社とみなされるわけなので、子会社と曾孫会社間及び親会社と曾孫会社間もまた「企業内転勤」の対象となります。

 なお、上記各「企業内転勤」の対象をツリー図で例えると、同じ枝にあるものに限らず、別の枝にある同じ位置づけにあるものとの間においても該当します。

 

 入管の審査基準によると、「企業内転勤」の申請にあたって会社間関係要件に関しては、親会社とその卑属会社間においては、親会社と子会社間のみの転勤が該当するとされています。一方、同基準に“「孫会社」も、その親会社の子会社とみなされる”と規定されたため、親会社と孫会社間の「企業内転勤」も認められています。

 更に例外として“親会社が孫、曾孫会社まで一貫して100%出資している場合には、曾孫会社も子会社とみなすことができる”とも定められているので、その資本金関係上にある親会社と曽孫会社間もまた、「企業内転勤」の申請に際しては該当性があります。

 

 入管の審査基準で“「関連会社」とは、会社(その会社が子会社を有する場合には、その子会社を含む。)が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合におけるその子会社以外の他の会社等をいう。”と定めております。

 具体的には、財務諸表等規則では4種類の関連会社について定義づけられておりますが、主に “子会社以外の他の会社等の議決権の百分の二十以上を自己の計算において所有している場合”(財務諸表等規則8条6項1号)が実務上よく申請されます。つまり、出資額が20%以上50%未満の出資先が出資元の「関連会社」といいます。

 

 「企業内転勤」の申請において本支店間や親子会社間は対象となります。一方、日本の入管法や会社法などの法律において「支社」というものは存在しません。実務上、各企業が好きなだけに日本にある営業所やオフィスを支社と呼ぶことは自由ですが、法的効力が生ずると限りません。

 ・支社≠支店
   会社法において「支店」は“所在地における登記をしなければならない”と定められています。(会社法930条)

 ・支社≠子会社
   会社法において「子会社」とは“会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他のその会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。”と定義づけており(同2条3号)、入管法においては“他の会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(意思決定機関)を支配している会社を「親会社」といい、その他の会社等を「子会社」という。”と審査基準で定められています。また、子会社も“商業登記法の定めるところに従い、商業登記簿にこれを登記する”必要があります。(同907条、911条~914条)

 つまり、支店や子会社を支社と呼ぶ企業もありますが、単に支社と言っても、支店なのか若しくは子会社なのか又はいずれにも該当しないかが分からないので、「企業内転勤」の対象であるかどうかは、「支社」という言葉では判断できかねます。

 入管の審査基準で“関連会社への異動は、「企業内転勤」の対象となる。”と定めた一方、“関連会社の間の異動、及び親会社と子会社の関連会社間の異動は、「企業内転勤」の対象とはしない。”とも規定しています。分かりやすく説明すると、下記のようになります。

出資元(以下:親会社) ⇄ 出資先(以下:関連会社)
子会社 ⇄ 子会社の関連会社
関連会社A ⇄ 関連会社B ×
親会社 ⇄ 子会社の関連会社 ×
子会社 ⇄ 関連会社 ×
関連会社 ⇄ 子会社の関連会社 ×
親会社 ⇄ 関連会社の子会社 ×
子会社 ⇄ 関連会社の子会社 ×

 「企業内転勤」の申請に際し、労働関係に関する書類は通常、その従業員の『在職証明書』の原本及び『転勤命令書』又は『辞令』等の写しの提出が必要のほか、日本企業との労働契約の締結について在留資格の審査基準でこう規定しています:“日本の公私の機関との契約に基づいて活動を行うことが必要であるのは「企業内転勤」の場合、その外国人は転勤する前に外国企業に採用された時点でその企業との間で雇用契約等を既に結んでおり、その雇用契約をもって「日本の公私の機関との契約」があることから、同一の法人の外国の事業所から日本の事業所への転勤の場合には新たな契約が不要となる。”ただし、実務上、転勤元と転勤先の法人を異にする転勤の場合でも、日本の公私の機関と新たに契約の締結を入管から求められないケースが多いです。

 

 「企業内転勤」とは、人事異動により外国の事業所から日本の事業所に転勤する外国人を受け入れるために設けられた在留資格となり、➀期間を定めて、②資本関係のある海外の事業所から、③「技術・人文知識・国際業務」の範囲内の活動において受け入れることが可能です。

 従って、あくまでも「企業内転勤」は日本で就労することが目的の資格となることから、研修を目的としてこれを申請することはできません。ご質問のような目的で現地社員を受け入れる場合、「技能実習」を検討したほうがよいかと存じます。

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