在留資格の種類

「興行」


1.「興行」の概要

 「興行」は、外国の文化に接する機会を提供し,文化交流を推進することにより国際理解を増進し,また,我が国の文化,スポーツの振興・向上等に寄与し,国民の娯楽としても有益な興行活動に従事する外国人を受け入れるための在留資格です。

2.「興行」の該当範囲

 演劇,演芸,演奏,スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(「経営・管理」の活動を除きます)

3.「興行」の基準

第1号

 申請人が演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行に係る活動に従事しようとする場合は,二に該当する場合を除き,次のいずれにも該当していること。

イ 申請人が従事しようとする活動について次のいずれかに該当していること。ただし,当該興行を行うことにより得られる報酬の額(団体で行う興行の場合にあっては当該団体が受ける総額)が一日につき500万円以上である場合は,この限りでない。

(1) 削除

(2) 外国の教育機関において当該活動に係る科目を2年以上の期間専攻したこと。

(3) 2年以上の外国における経験を有すること。


ロ 申請人が次のいずれにも該当する本邦の機関との契約(当該機関が申請人に対し て月額20万円以上の報酬を支払う義務を負うことが明示されているものに限ります)に基づいて演劇等の興行に係る活動に従事しようとするものであること。ただし,主として外国の民族料理を提供する飲食店(風営法第2条第1項第1号に規定する営業を営む施設を除く。)を運営する機関との契約に基づいて月額20万円以上の報酬を受けて当該飲食店において当該外国の民族音楽に関する歌謡,舞踊又は演奏に係る活動に従事しようとするときは,この限りでない。

(1) 外国人の興行に係る業務について通算して3年以上の経験を有する経営者又は管理者がいること。
(2) 5名以上の職員を常勤で雇用していること。
(3) 当該機関の経営者又は常勤の職員が次のいずれにも該当しないこと。

① 人身取引等を行い,唆し,又はこれを助けた者

② 過去5年間に法第24条第3号の4イから八までに掲げるいずれかの行為を行い,唆し,又はこれを助けた者

③ 過去5年間に当該機関の事業活動に関し,外国人に不正に法第3章第1節若しくは第2節の規定による証明書の交付,上陸許可の証印若しくは許可,同章第4節の規定による上陸の許可又は法第4章第1節若しくは法第5章第3節の規定による許可を受けさせる目的で,文書若しくは図画を偽造し,若しくは変造し,虚偽の文書若しくは図画を作成し,若しくは偽造若しくは変造された文 書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し,所持し,若しくは提供し,又はこれらの行為を唆し,若しくは助けた者

④ 法第74条から第74条の8までの罪又は売春防止法(昭和31年法律第118号)第6条から第13条までの罪により刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

⑤ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

(4) 過去3年間に締結した興行契約に基づいて興行の在留資格をもって在留する外国人に対して支払義務を負う報酬の全額を支払っていること。

ハ 申請に係る演劇等が行われる施設が次に掲げるいずれの要件にも適合すること。ただし,興行に係る活動に従事する興行の在留資格をもって在留する者が当該施設において申請人以外にいない場合は(6)に適合すること。

(1) 不特定かつ多数の客を対象として外国人の興行を行う施設であること。
(2) 風営法第2条第1項第1号に規定する営業を営む施設である場合は,次に掲げるいずれの要件にも適合していること。

① 専ら客の接待(風営法第2条第3項に規定する接待をいう。以下同じ。)に従事する従業員が5名以上いること。

② 興行に係る活動に従事する興行の在留資格をもって在留する者が客の接待に従事するおそれがないと認められること。

(3) 13平方メートル以上の舞台があること。
(4) 9平方メートル(出演者が5名を超える場合は,9平方メートルに5名を超える人数の1名につき1.6平方メートルを加えた面積)以上の出演者用の控室があること。
(5) 当該施設の従業員の数が5名以上であること。
(6) 当該施設を運営する機関(以下「運営機関」というO)の経営者又は当該施設に係る業務に従事する常勤の職員が次のいずれにも該当しないこと。

① 人身取引等を行い,唆し,又はこれを助けた者

② 過去5年間に法第24条第3号の4イから八までに掲げるいずれかの行為を行い,唆し,又はこれを助けた者

③ 過去5年間に当該機関の事業活動に関し,外国人に不正に法第3章第1節若しくは第2節の規定による証明書の交付,上陸許可の証印若しくは許可,同章第4節の規定による上陸の許可又は法第4章第1節若しくは法第5章第3節の規定による許可を受けさせる目的で,文書若しくは図画を偽造し,若しくは変造し,虚偽の文書若しくは図画を作成し,若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し,所持し,若しくは提供し,又はこれらの行為を唆し,若しくは助けた者

④ 法第74条から第74条の8までの罪又は売春防止法第6条から第13条までの罪により刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

⑤ 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者



第2号

 申請人が演劇等の興行に係る活動に従事しようとする場合は,次のいずれかに該当していること。

イ 我が国の国若しくは地方公共団体の機関,我が国の法律により直接に設立された法人若しくは我が国の特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人が主催する演劇等の興行又は学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校,専修学校若しくは各種学校において行われる演劇等の興行に係る活動に従事しようとするとき。


口 我が国と外国との文化交流に資する目的で国,地方公共団体又は独立行政法人の資金援助を受けて設立された本邦の公私の機関が主催する演劇等の興行に係る活動に従事しようとするとき。


ハ 外国の情景又は文化を主題として観光客を招致するために外国人による演劇等の興行を常時行っている敷地面積10万平方メートル以上の施設において当該興行に係る活動に従事しようとするとき。


二 客席において飲食物を有償で提供せず,かつ,客の接待をしない施設(営利を目的としない本邦の公私の機関が運営するもの又は客席の定員が百人以上であるものに限る。)において演劇等の興行に係る活動に従事しようとするとき。


ホ 当該興行を行うことにより得られる報酬の額(団体で行う興行の場合にあっては当該団体が受ける総額)が1日につき50万円以上であり,かつ,15日を超えない期間本邦に在留して演劇等の興行に係る活動に従事しようとするとき。



第3号

 申請人が演劇等の興行に係る活動以外の興行に係る活動に従事しようとする場合は,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けて従事すること。


第4号

 申請人が興行に係る活動以外の芸能活動に従事しようとする場合は,申請人が次のいずれかに該当する活動に従事し,かつ,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

イ 商品又は事業の宣伝に係る活動


ロ 放送番組(有線放送番組を含みます)又は映画の製作に係る活動


ハ 商業用写真の撮影に係る活動


ニ 商業用のレコード,ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動

4.「興行」の在留期間

在留期間3年

 1年を超えて安定的に興行活動を行う場合など,興行の形態からいって「3年」の在留期間で許可することが適当と認められる場合


在留期間1年

 6月を超えて興行活動を行う場合など,興行の形態からいって「1年」の在留期間で許可することが適当と認められる場合(6月を決定する場合の②に該当するものを除きます)


在留期間3月

① 活動期間が3月を超え6月以下の場合(②を除きます)

② 基準省令第1号に適合する場合(1年の期間を決定する場合を除きます)で,興行契約機関について,過去1年間に外国人芸能人の労務管理等に問題が生じておらず,十分な管理を行うことが期待されるもの(活動期間が3月を超え6月以下のものに限ります)



在留期間15日

基準省令第2号ホに適合する場合

5.関係法令

6.ガイドライン等

なし

7.「興行」の申請に必要な資料

(1)認定証明書交付申請(海外からの呼び寄せ)

①申請の必要書類

1 演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演奏の興行を行う場合


2 次の(1)~(5)のいずれかの活動を希望する場合

(1) 日本の国,地方公共団体の機関又は特殊法人が主催する演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演 奏の興行及び学校教育法に規定する学校,専修学校又は各種学校において行われる演劇等の興行に係る活動を行おうとする場合

(2) 文化交流に資する目的で,国,地方公共団体又は独立行政法人の援助を受けて設立された本邦の公私の機関が主催する演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演奏の興行に係る活動を行おうとする場合

(3) 外国の情景又は文化を主題として観光客を招致するために,外国人による演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演奏の興行を常時行っている敷地面積10m2以上の施設において,興行活動を行おうとする場合

(4) 外国人の方が,客席において飲食物を有償で提供せず,かつ,客の接待をしない施設(営利を目的としない本邦の公私の機関が運営するもの又は客席の定員が100人以上であるものに限ります)において,演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演奏の興行に係る活動を行おうとする場合

(5) 外国人の方が,当該興行により得られる報酬の額(団体で行う場合は,当該団体が受ける総額)が1日につき50万円以上であり,かつ,15日を超えない期間本邦に在留して,演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演奏の興行に係る活動を行おうとする場合


3 外国人の方が,演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演奏の興行以外の興行(スポーツなど)に係る活動を行おうとする場合


4 外国人の方が,次の(1)~(4)のいずれかに該当する芸能活動を行おうとする場合

(1) 商品又は事業の宣伝に係る活動

(2) 放送番組(有線放送番組を含む。)又は映画の製作に係る活動

(3) 商業用写真の撮影に係る活動

(4) 商業用のレコード,ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動

②申請書フォーマット  【PDF形式】  【EXCEL形式】(出入国在留管理庁HPへ)


8.「興行」のQ&A

 日本のクラブチーム等に所属する外国人スポーツ選手の在留資格は、契約に基づき日本の公私の機関のために、日本でスポーツ選手として活動することを目的として入国・在留する場合は、「興行」(3号)又は「特定活動」(告示6号)が該当します。

 この度は、興行を目的としていない事、自社の宣伝目的で設けたクラブチームの試合に参加する事、契約機関がスポーツの試合を事業としていない事等を考慮すると、「興行」(3号)ではなく「特定活動(告示6号)に該当する可能性が高いと思われます。

 「興行と不可分な関係にある活動」と認められる場合は、「興行」の在留資格が該当します。要件として「必要性」と「一体性」があげられます。単にゴルフバックを運搬し、クラブを渡すだけの作業ではなく、技術的・精神的なアドバイスを行い、マネージャー的業務をおこなう場合は、当該キャディーの存在なくして「興行」活動の遂行が困難、且つ、代替が不可能であると認められ、「必要性」が有ると判断される傾向があります。また、キャディーが通常想定される専属キャディーとしての活動を行う場合は「一体性」が認められる傾向があります。上記に該当する場合は、プロゴルファーと一緒に「興行」での申請をおこなう事をお勧めします。

 ご質問のように、確かに「日本人と同等以上」という報酬の規定がございますが、プロスポーツ選手という職業の性質や実態に鑑みて審査がなされることとなります。一般に、プロゴルファーの実態として、会社員のように月々の給与を受けて生活しているということはあまり多くなく、どちらかといえば、賞金ベースで収入を得ているケースが多いかと存じます。

 そのため、審査上、月々の給与がなければ許可が下りない、ということはなく、賞金ベースの報酬であったとしても許可が得られるケースが御座います。

 劇場やコンサートホールでは、客席部分と区分されたロビー等に自動販売機や売店がある場合が多いですが、客がこれらで購入した飲食物を自ら客席に持ち込んで飲食をしても、客席において飲食物を提供することに当たりません。

 一方、例えば、客席と一体性のある場所にバーカウンターを設けて飲食物を提供する場合は、客席において飲食物を提供することに当たります。また、施設への入場料と飲食料金が区別されている場合のほか、入場料に飲食料金が含まれている場合も、飲食物を有償で提供することに該当します。

 客席の定員は、劇場など多数の観客を集めるような建築物について、建築基準法による建築確認、消防法上の防火設備の設置基準との関係で各施設毎に定められている収容定員で客席部分に係る数値を言います。

 客席数は、原則として固定された座席の数になります。申請時に提出される興行を行う施設の概要を明らかにする資料に記載されている客席数は、通常、固定された座席の数であると考えられますが、施設によっては長いすや枡席のような形のものもあります。この場合、建築基準法・消防法いずれの手続においても、一定の計算式により利用可能な客の数を算出することとなっており、これらの合計が施設の客席数となります。

 なお、客席が明確にされていない屋外施設の場合は、収容定員によることとされています。

 契約形態に決まりはなく、マネージメント契約であっても申請は可能です。スポーツによっては、賞金ベースでリーグに参加するものもあり、必ずしも毎月一定額の給与を支払うような契約形態が馴染むものばかりではありません。

 そのため、契約形態よりも、➀どのような活動を行うのか、②活動機関中の労務管理はどうするのか、③報酬などの取扱いについて不当に日本人と差がないかなど、契約内容そのものに不合理な部分がないかを確認していくことが重要です。

 スポーツ選手を招聘する場合、今回のように「特定活動」又は「興行」の在留資格を検討することとなります。「興行」の場合は、契約形態に制限はござませんので、どのような契約であっても、その形態のみをもって審査が不利になることはほとんどありません。

 しかし、「特定活動」の場合には、契約形態は「雇用契約」に要件上限定されることとなります。 雇用契約であれば契約期間に限定はございませんので、「1年間」の有期契約で雇用契約を締結する場合には、申請が可能です。

 すでに「外交」の査証が発給されているケースであっても、在留資格「興行」の申請は可能です。仮に在留資格認定証明書が交付され、現地で「興行」の査証が発給された場合には、上陸審査時に興行目的で来日したことを伝えた上で来日いただくことが重要です。

 仮に貴社が受入機関となる場合には、念のため、撮影前にどのような在留資格で入国したかをご確認することを強くお勧め致します。また、各地方入管によって取り扱いが変わる可能性も否定できないため、申請前に状況を説明した上で、申請の可否や留意点を入管に相談してみた方がよいでしょう。

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