外国人雇用の基礎知識

就労ビザ VOL.05

企業内転勤ビザ

 1.「企業内転勤」の概要

 在留資格「企業内転勤」とは、「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、外国の事業所から本邦にある事業所に期間を定めて転勤して、当該事業所において行う技術又は人文知識・国際業務の在留資格に対応する活動」のことを言います。

 海外にある自社の子会社や支店などに勤務する人材を日本に招へいする場合には、「企業内転勤」の在留資格を申請するのが一般的です。多くの日本企業が海外進出を行った結果、海外の日本企業の関連会社や子会社から日本の本店・支店へ転勤するケースや、その逆に、外国企業の海外にある本店から日本の支店・事業所などに転勤するケースが該当します。

 通常、転勤と言った場合には同一会社内の異動を指しますが、この在留資格の場合には以下の異動すべてが該当します。
①親会社・子会社間の異動
②本店(本社)・支店(支社)・営業所間の異動
③親会社・孫会社間の異動、及び子会社・孫会社間の異動
④子会社間の異動
⑤孫会社間の異動
⑥関連会社への異動
(ただし、この場合には親会社・関連会社、子会社・子会社の関連会社間のみに限定されます)

 最近ではシステム開発などの分野において人件費を抑えるために日本で受注した業務を中国などに設立した子会社に発注するケースが多くみられます。開発後のシステムを日本で実際に運用する際に、開発責任者などを日本企業で勤務させる場合「企業内転勤」の在留資格がよく利用されています。

 この在留資格で勤務できる者は「人文知識・国際業務」又は「技術」に相当する活動を行なう社員に限られています。具体的には貿易業務、海外業務、翻訳・通訳、IT関連技術者、機械などの設計者、新製品の開発技術者、土木建築の設計者などが該当します。そのため、いくら企業内の転勤であっても単なる事務補助や流れ作業などの単純労働に従事させることはできません。また、申請前に1年以上海外の事業所に勤務している必要があるので、他社から転職したばかりの人間を招へいする場合や現地法人を設立したばかりで1年以上経過していない場合には、原則として「企業内転勤」の在留資格を申請する事はできません。

 次に日本人と同等の報酬額とあり、これは場所や地域によっても異なりますが、最低でも月額20万円前後の給与が必要になるものと思われます。よく問題となる例としては、日本よりも物価が安い現地の通貨基準で給与を支払う場合です。例え現地では高給であっても日本円に換算すると月額10万円にも満たない場合がありますが、このような場合には在留資格の申請をしても不許可となる可能性が高いと思われます。ちなみに、給与の支払者については特に決まりは無く、現地企業が支払っても、日本企業が支払っても構いません。

 よくある例としてはベースとしての基本給は現地で支払われ、その他に日本での滞在費を補完する形で住居費、交通費、食費などが日本にある会社から支払われるケースです。このように現地企業と日本企業の2社から給与が支払われても、合計の給与額が日本人と同等の金額であれば特に問題ありません。

 2.「企業内転勤」のポイント

 ① 「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関」には、民間企業のほかに、公社、公団及びその他の団体 (JETR0、経団連等)、外国の政府関係機関、外国の地方公共団体 (地方政府を含む) 関係機関も含まれます。ただし、外国の政府関係機関の場合にそこで行なわれる活動が「外交」又は「公用」の在留資格に該当するときは、これらの在留資格が優先されます。

 ② 「期間を定めて転勤して」とは、本邦での勤務が一定期間に限られていることを意味します。

 ③ 外資系企業の企業内転勤者が経営又は管理に従事する場合には、「投資・経営」の在留資格に該当します。

 ④「企業内転勤」で在留する場合は、日本の公私の機関と契約する必要はありません。

 ⑤ 日本にある事業所は,事業が適正に行われ、かつ、安定性及び継続性の認められるものでなければなりません。

 ⑥ 外国人が働く外国企業に対し地方公共団体等が提供した施設を事業所として使用し、外国企業の支店等開設準備にかかる活動で「企業内転勤」の在留資格に該当する活動を行う場合は、当該活動の拠点となる事業所が確保されているものとして取り扱われます。

 3.「企業内転勤」の基準

 申請人が次のいずれにも該当していること。

 ① 申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において1年以上継続して「技術」又は「人文知識・国際業務」の項に掲げる業務に従事していること。
② 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

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