日本人の実子として「日本人の配偶者等」を申請する場合は、入管の審査基準に“日本人の子として出生した者”について明確な規定があり、ご相談いただいたケースでは、下記いずれの要件も満たさなければなりません。
① “「日本人の子として出生した者」とは,日本人の実子をいい,嫡出子のほか,認知された嫡出でない子が含まれる”
② “出生の時に父又は母のいずれか一方が日本国籍を有していた場合,また,本人の出生前に父が死亡し,かつ,その父が死亡のときに日本国籍を有していた場合が,これに当たる”
従って出生その時点においては日本人の実子であれば、その後、両親又は片方の死亡によって“日本人の子として出生した者”に該当しなくなるような規定は入管の審査基準のどこにもないので、“日本人の実子として出生し、その後、両親が共に死亡した”のであっても、入管法上の“日本人の子として出生した者”としての身分を有すると言えます。
「日本人の配偶者等」の身分について入管の審査基準ではこう規定しています
“日本人の配偶者若しくは民法第八百十七条の二の規定による特別養子又は日本人の子として出生した者”。 “民法第八百十七条の二の規定による特別養子”とは、“家庭裁判所は、(中略)養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(「特別養子縁組」)を成立させることができる。”(民法第817条の2第1項)であり、“十五歳に達している者は、養子となることができない。特別養子縁組が成立するまでに十八歳に達した者についても、同様とする。” (民法第817条の5第1項)と定めています。
つまり、入管の審査基準にも記載されたように、“特別養子縁組は,生みの親との身分関係を切り離し,養父母との間に実の子とほぼ同様な関係が成立する。なお,特別養子縁組及びその離縁に関する事項については,養親の戸籍の身分事項欄に記載される”ことになります。
従って単なる普通養子は、在留資格「日本人の配偶者等」の身分に該当しないので、申請をしても許可が下されることがありません。
日本人と婚姻関係にある事をもって制限なく就労可能とは言い切れません。許可されている在留資格の種類によって異なります。在留資格「日本人の配偶者等」が許可されていれば、日本人と同様に就労は可能です。日本人と婚姻関係にある外国人だとしても、「留学」や就労目的の在留資格が許可されている外国人もいます。そのため、採用前に在留資格の種類を把握し、必要に応じて、在留資格変更許可申請等の然るべき手続きをおこなう必要があります。