外国人雇用Q&A

人事ご担当者様からよく頂くご質問をまとめました

企業内転勤のQ&A

 「企業内転勤」の審査基準に“同一企業等の内部で外国の事業所から本邦の事業所に”という要件があり、「同一企業等」,「内部」,「本邦の事業所」などの文言から、同一企業等ではない外部にあるクライアントの会社はその要件を満たさないとみなされます。  また、「同一企業等」についても限定列挙されています。

(1)本店と支店間の異動
(2)親会社と子会社(孫会社を含む)間の異動
(3)子会社(孫会社及び曾孫会社を含む)間等の異動
   ただし、曾孫会社間の異動及び孫会社と曾孫会社間の異動をさせるためには、親会社が各孫・曾孫会社まで一貫して100%出資していることが必須です。
(4)関連会社への異動

 関連会社の定義は複雑なので説明を割愛しますが、一般的には一方が他方に対する議決権や出資金が20%以上50%未満の関係を指します。更に、関連会社の一方の子会社と他方間の異動も冒頭の要件を満たします。なお、同一会社の互いに議決権や資本金関係のない別の関連会社間の異動、及び親会社と子会社の関連会社間の異動は認められません。

 なお、クライアント先で勤務してもらいたい場合は、一般的にクライアント先が受入機関として申請人と労働契約を締結し「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を申請する必要があります。

 「企業内転勤」の審査においては“「転勤」は,通常,同一会社内の異動であるが,系列企業(「親会社」,「子会社」及び「関連会社」)内の出向等も「転勤」に含まれる。”及び“申請人が転勤する直前に1年以上継続して勤務していたことが必要である。”の2点が審査基準に定められています。

 しかし、受入機関である「本邦の公私の機関との契約」については何の制約もありません。そのため、申請人が受入機関との労働契約がなくともよいこととなり、そのことから当然に転勤者の給与を全て現地法人が支払うことが認められます。

 また、受入機関が申請人と労働契約を締結しないことは認められますが、逆に申請人と労働契約を締結することは受入機関の自由意思なので、労働契約があれば、転勤者の給与を全て受入機関が支払うことも認められます。

 実務上では、申請人が転勤元である現地法人と転勤先である受入機関の両方と労働契約を締結する例も多くあり、それに伴い転勤者の給与を現地法人と受入機関の双方が(割合不問)支払っても問題ありません。

 なお、いずれの場合においても、申請人が支払われる給与の総額は“日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上”という要件が課されています。また、日本での転勤期間中は現地法人と申請人との間の労働契約を終了させることはできません。

 「企業内転勤」には、「技術・人文知識・国際業務」に要求されるような学歴や職務経験などの要件はありませんが、従事することができる活動については、「技術・人文知識・国際業務」に規定される範囲と同一のものとなります。

 そのため、単純作業には従事させることができず、一般的に機械メンテナンスと呼ばれる職務に「企業内転勤」の在留資格で行うことはできない可能性が高いと言えます。

 入管法上で言う在留資格「研修」は非実務のみであり、逆に「企業内転勤」は実務でなければならず、非実務研修なら「研修」の在留資格を申請しなければなりません。一方、よく企業内部で“研修制度”というものを耳にしますが、こちらで言う“研修”は在留資格の「研修」と必ずしも一致するとは限りません。取引に係る業務や職務自体は「技術・人文知識・国際業務」に該当するものであれば、社内扱いは“研修”であっても、「企業内転勤」又は「技術・人文知識・国際業務」の申請を検討すべきです。

 ご参考まで、「研修」と「企業内転勤」の要件上、主な相違点を表でまとめます。

主な要件 「企業内転勤」 「研修」
日本法人と海外法人との資本金関係 必要 場合によっては不要
申請人が海外法人に在籍した期間 継続して1年以上在籍中 在籍中であれば足りる
来日後に行う活動 「技術・人文知識・国際業務」に係る職務 いわゆる座学又は取引に係わらない学習等
実務か非実務か 実務 非実務
報酬 日本人と同等以上 日本で生活できる程度の手当でよい
日本に滞在できる期間 最大5年,更新可能,上限なし 3月若しくは6月又は1年, 『研修実施予定表』次第更新可能,上限計1年
他の在留資格に変更 可能 原則不可,研修終了後要出国

 まずは、給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の有無を確認する必要が御座います。御社を存続会社として合併をしているとのことですので、旧社名又は新会社の社名にて合計表を税務署に提出している可能性が非常に高いです。 そして、合計表で御社のカテゴリーを確認後、通常通り、各カテゴリーで必要とされている資料をそれぞれ集めていくこととなります。

 尚、通常の申請との相違点としては、合併したことについて、その経緯等を記載した理由書をつけて申請ができれば非常に丁寧かと存じます。 その際、ホームページ等に子会社の記載があれば、そういったものを印刷して提出してもよいですし、資本関係のわかる資料(例えば、出資者リスト等)を提出し、資本関係が問題なく継続していることを改めて説明してもよいです。

 今回のケースでは、在留資格「企業内転勤」の要件には該当しないと言えます。現在および来日後の申請人の職務内容や労働条件等も併せて確認する必要はあるものの、「企業内転勤」の重要且つ基本要件の一つとして、「申請人は、日本に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業書の職員であること」というものがあるため、今回のように米国親会社の従業員でない場合は、米国親会社経由で申請人の派遣を行う場合であっても、「企業内転勤」に該当性はありません。

 他に、オプションとなり得る在留資格としては、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格がありますが、こちらは「申請人が日本の公私の機関との契約に基づいて行う活動に従事すること」という基本要件がありますので、申請を進める場合は、米国の親会社経由で派遣される場合であっても、申請人と貴社間で就労に関する契約を直接締結することが必要です。なお、こちらの契約には、雇用契約の他、委任契約や委託契約も含まれます。

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