不法滞在であるかどうかにかかわらず、原則として外国人労働者にも労働者保護法が適用されるため、外国人も民事及び労働監督行政上の保護を受けられるような様々な措置が取られています。
例えば、時間外労働等の割増賃金分を含む賃金未払い等がある場合には、企業側へ賃金を支払わせる交渉や裁判等の手続きに必要な期間は労働基準監督署からオーバーステイの事実を入国管理局へ通報しないという扱いがあります。
ただ、実際には少なくとも労働災害の事実関係の聞き取り調査が終わるまでの間は通報を差し控えるというのが通例のようであり、その事実調査が終わると入管へ通報されることもあるようです。肝心な労災保険の支給に関しては当該不法就労者が本国に帰国後に海外に送金することで支給されます。
また、入国管理局においても、オーバーステイの外国人が賃金未払いの状況にあるときは、仮に不法滞在で収容していても紛争が解決するまでは日本に滞在できるよう、強制送還の手続きを見合わせているケースもあります。