1.給与の合意
給与の支給額は、募集企業側が金額を提示して応募者が提示額に承諾することにより決定されますが、控除額についてまで合意することはほとんどなく、日本人の場合は「控除されて当然」「しょうがない」と考えて、黙示の合意が成り立っているかと思います。
外国人の場合は、合意された給与の支給額から何が控除されるかを理解していないこともあり、その誤解から企業へ不信感を抱くこともあります。
2.グロスとネット
日本の給与支払は、総支給額と手取額が大きく異なります。給与の支給額から社会保険料、所得税や住民税などが控除されるためです。
外国人の場合、給与明細を見てはじめて給与からさまざまな税金や保険料を控除されるのを知ることもあります。事前にグロス(総支給額)がいくらかネット(手取額)がいくらになるかを給与計算のシミュレーションをして説明する必要があります。
3.ローカル社員とエクスパッツ
外国人を雇用する形態は、大きく分けて日本で現地採用される者(ローカル社員)、もしくは海外の本店・支店や関係会社などに所属している外国人が転勤などで日本に出向してくる者(エクスパッツ)に区分できます。
給与の計算は、ローカル社員とエクスパッツでその取扱いが異なる場合があります。居住者区分、保険・年金制度、年末調整などをそれぞれ確認しなければなりません。
4.居住者・非居住者の判定
外国人社員の所得税を計算する場合、その外国人が“居住者”となるか“非居住者”となるかを判定しなければなりません。この区分の違いにより給与計算上の所得税の計算方法が異なります。
現地採用のローカル社員の場合は“居住者”として扱うことがほとんどですが、エクスパッツの場合はさまざまケースが考えられますので注意が必要です。