1.支給額と控除額の差引計算
給与計算の業務は、役員や従業員に給与を支払うときに、労働条件通知書などにより決定された給与から、法律に定めがある健康保険料や厚生年金保険料、所得税などの控除額を差し引きする一連の事務になります。
支給額には労働条件通知書のほか、企業の賃金規程の手当などを含み、控除額には法律の定めのほか、社内積立などの任意のものを含みます。
2.給与明細書と賃金台帳
給与明細書は給与計算結果の明細書です。その明細書には大きく区分すると“勤怠”“支給”“控除”“差引支給額”の情報が記載されています。
これらの項目は“賃金台帳”として保管します。外国人社員の信頼を得るためや企業のコンプライアンスのためにも、労働基準法が規定する項目(労働日数や労働時間数、時間外労働時間数など)を網羅していなければなりません。
3.勤怠の管理
企業は従業員の労働時間を適正に把握し、かつ管理する責務を負っています。管理監督者などの適用除外者を除き、給与計算にも適正な労働時間を反映させなければなりません。
一般的に日本人の場合、多少の残業時間はいとわない傾向にありますが、外国人を雇用する場合はそういった常識は通用しないことも多く、適切な勤怠管理体制を整える必要があります。
4.給与計算と諸法令
給与計算を正確に行うためには、労働基準法、社会保険・労働保険に関する各種法律、所得税法を正しく理解しなければなりません。一般に“賃金”“報酬”“給与”などと呼び方が異なりますが、これは各種法律による呼び方があるためであり、解釈も若干異なります。
このように給与計算業務にはさまざまな法律が関わってきますので、事務担当者は、外国人社員からの質問にも答えられるように理解しておくことが必要です。