1.基本給の体系
基本給は、その言葉のとおり、支払う給与の“基本”となるものであり、諸手当もありますが、基本給が給与の実力といえます。基本給をどのようにして決めるかが給与制度の骨格を決めるとともに、制度設計上で最も重要になります。
基本給をどのように決定するかは、一般的に次のような要素があり、その体系は3つに分類されます。
2.生活保障と労働(力)対価の原則
日本的能力主義に沿った給与体系とは、世帯形成に沿った部分の“年齢給”とキャリア形成に沿った部分の“職能給”といえます。これら両者をもって従業員の成長を促す給与体系が成立します。
給与は生活保障の原則と労働(力)対価の原則の2つが必要であり、いずれが欠けても給与の果たすべき機能が十分とはいえず、これは外国人社員にも当然に通用する原則といえます。
3.生計費の“年齢給"
給与は生活保障となる生計費に見合うことが必要です。生計費は従業員にとって大事な問題であり、従業員の労働意欲、定着率さらには外国人社員のビザ取得等の観点からも意味を持ちます。
生計費は通常、年齢の上昇とともに変化します。20歳代の単身者と30歳代の妻帯者とでは、生活保障の生計費が当然異なります。なお、外国人社員の本国の配偶者と子であれば、「家族滞在」ビザで日本への滞在が可能です。
4.労働(力)対価の“職能給”
“職能給”は職能資格制度を前提としており、“昇格昇給”と“習熟昇給”の2つから構成されます。昇格昇給は、1つ上の等級に昇格すれば給与額は昇給します。習熟昇給は、同じ等級内にいても習熟の進みにより昇給します。
昇格昇給がないと年功的なものとなってしまい、また習熟昇給がないと職務給的なものとなってしまいますので、これら2つの昇給システムが必要になります。
外国人社員の評価は、職能資格制度に加えて目標管理などの成果主義的要素を取り入れることも検討する必要があります。