1.労働または労働力の個別給与
給与は“労働の対価”もしくは“労働力の対価”ということができます。従業員にとっての給与は、“労働(仕事基準)”または“労働力(人間基準)”の供給価格であり、企業側にとっての重要価格です。
商品やサービスはすべて、銘柄が異なれば価格が異なります。労働または労働力も同様に、銘柄が異なれば価格が異なります。すなわち給与は、銘柄別の個別対価ということができ、この個別対価である個別給与が給与のベースです。
2.賃金表の作成
給与は、労働または労働力の個別対価であり、この個別対価の給与を一覧にしたものが賃金表です。この賃金表をベースとして各人の給与額が決定されます。
日本人社員や外国人社員一人ひとりの給与を正しく決定していくためには、まずは賃金表を正しく設計することが大切であり、もし賃金表がなければ、どのような仕事ができて、またどのような能力があれば給与はいくらになるということが明示できません。
3.給与決定の明確化
人材を確保し労働意欲を高めていくためには、賃金表に基づくベースアップと定期昇給を区別した給与改定が必要です。また、そのような賃金表を作成しておけば、外国人社員や中途採用者の給与決定においてもきわめて明確になります。
優秀な外国人社員を獲得するためには、納得性の高い給与決定は必要ですし、また今後どのようなキャリアを積んでいけば給与が上がるかといったことを制度化することができれば、そのままモチベーションアップにもつながります。
4.公正な個別給与
個別給与は公正であることが必要ですが、給与は世間相場や生計費、各人の労働に対するバランスがとれていなければ、公正な給与ということはできません。
生計費は世間一般の生活レベルを維持・向上させていくために必要な経費であり、世間相場もこの生計費の概念に取り込むことができます。そうすると給与の公正さは、“生計費に見合うこと”と“各人の労働(力)に見合うこと”の2つになります。