1.給与制度のグローバルスタンダード
給与は、労働または労働力の対価としての“社会性”と、企業の支払い能力や各人の貢献度によって配分される所得としての“企業性”の2つの性格があります。中国を中心とするアジア経済の成長により、大手企業のグローバル人材獲得の動きから“社会性”が高まり、同時にリーマン・ショックなどの経済不況に備えるため“企業性” の側面も強くなっています。
給与制度のスタンダードは、グローバル企業への変貌を迫られるのと同じように、今後、世界各国の垣根を越えて統一化されていくことが考えられます。
2.アメリカモデル
アメリカにおいては“職務給”の考え方が基本です。職務給とは、従業員が従事する仕事の困難度や職務の重要度で決定する給与です。
職務を分析し職務評価を通じてそれぞれの職務の等級と職務給が決まります。職務給は“同一価値労働同一賃金”を原則としており、仕事基準の“労働対価”としての給与といえます。
3.西欧モデル
西欧では“職種給”の考え方が基本です。職種給とは、職種によって決まる給与のことをいい、たとえば、エンジニアや調理人などの職種と熟練度を基準として、世間相場で給与を決定します。
“職務給”よりも仕事(職務)のくくりが大きく、職務の難易度を背景としてその職種に対する労働需給を反映して給与を決める特徴があります。その職種に携わることを条件に雇用されることが多く、他の職種や年齢に影響されることが小さいといえます。
4.日本モデル
日本の給与制度は、戦後の“終身雇用”の経営体制のもと“年功賃金”が確立し、勤続が“習熟”を意味して会社の発展とともにその役目を大いに果たしていました。
その後、人材育成に対応した能力主義の“職能資格制度”が普及し、人間基準の“労働力対価”としての給与といえます。