契約は“意思表示”を重要な要素とする法律行為の1つです。雇用契約も契約の1つですので、当事者である企業側と外国人の意思表示の合致により成立します。しかし常に有効に成立するとは限りません。
雇用契約が有効に成立するためには、外国人が「その労働条件で労務を提供します。」の“その労働条件”の理解に錯誤(勘違い)がないことが必要です。
外国人が労働条件の内容に勘違いしていた場合、雇用契約が無効となってしまうこともあります。せっかく優秀な外国人を採用してもそのような事態になってしまっては、企業にも外国人にも何らメリットはなく、絶対に避けなければなりません。
母国語の労働条件通知書などを用意し、契約内容が外国人に理解できる状態に整えなければなりません。外国人本人が日本語を理解している場合であっても「わたしは労働条件の契約内容を十分に理解して契約しました。」といった文言を追記しておくようにします。
雇用契約は契約期間、就業時間、給与や解雇理由を含む退職に関することなどの労働条件を明示しなければなりません。通常、雇用契約では詳細な労働条件は定められておらず、就業規則に規定されています。
労働契約法に就業規則と労働契約の関係が規定されており、就業規則は労働契約の内容となりますので、外国人が就業規則の存在や内容を“勘違いなく”知り得る状態にしておかなければなりません。
締結する雇用契約の労働条件は、勘違いなく理解される状態にしなければなりません。外国人の場合は日本語を理解できるといえども、日本人でも読み返さなければならないような難しい言語や回りくどい表現は避けるべきです。
特に就業規則の規定の表現は、法律的な表現が多く用いられています。外国人を採用するもしくはすでに雇用しているのであれば、自社の就業規則を「外国人が理解できるか?」という視点でもう一度読み直してみてはいかがでしょうか。