雇用契約は募集企業と求職者が交わす契約のひとつで、求職者の申込みと募集企業の承諾の合意があれば成立します。雇用契約書を交わしてはじめて効力を有するものではありません。
雇用契約にまつわる労働条件は非常に多岐にわたります。外国人との雇用契約では 日本人の常識や商慣習の違いから“誤解”を招きやすいため、雇用契約書や労働条件通知書などの作成は非常に重要です。
近年の雇用形態は多様化しており、企業側が成果主義による年俸制や目標管理などの人事制度を導入する企業が多くあります。また外国人社員も増加傾向にあり、国籍も多様化しています。
一般的に「日本人は契約への意識が低く、外国人は契約意識が高い」と評される傾向にあります。多様化している外国人社員すべてとはいえませんが、就労ビザを取得する外国人は、“高度人材”と呼ばれる専門知識や技術を有する外国人です。信頼関係を損なわないためにも、口頭で安易な約束をするべきではありません。
外国人からすると日本は当然に“外国人からみる外国”であるため、日本で就業することに不安を抱いています。そうした不安を払拭することができるものが“約束”であり、すなわち契約です。
日本人と交わす労働条件よりも、さらに詳細に記した雇用契約書や労働条件通知書などを用意すれば、不安を抱いている外国人に大きな安心感を与えることができます。そうした対応は信頼関係の礎となり、モチベーションアップにもつながります。
労働条件を記載している雇用契約書や労働条件通知書は、募集企業と応募者双方の“権利”と“義務”を書面で明確にしています。労働法にも労働条件の明示や一定項目の書面による交付が定められています。
雇用契約は一般的な契約と比べ契約期間が長期となります。未払い賃金、情報漏洩、ハラスメント、競業避止などの想定されるリスクを回避するためにも、“権利・義務”関係を含めた労働条件を書面にする必要があります。