1.経営理念
評価制度を構築するときは、まず企業組織が向かうべき方向性、あるべき企業像を従業員に明確にしなければなりません。経営理念や経営方針などを打ち出すことにより、統一的な価値判断を日本人社員のみならず、外国人社員を含めた全従業員で共有し、ベクトルを一つにする必要があります。
経営学者のバーナードによれば、組織成立の条件であり存続の前提として次の3つがあるとされ、共通目的となる経営理念は欠かせません。
① 共通目的(組織目的)
② 協働意志(貢献意欲)
③ コミュニケーション
2.理念と制度の一致
理念(言っていること)と制度(やっていること)が一致していなければならないことは言うまでもありません。
すべては「顧客・お客様・消費者のために」、従業員も顧客も「なるほど、さすが」と思う理念を持ち、日常のマネジメントで実践し、評価していくことによって外国人社員のモチベーションアップにつながり、さらには評価制度の浸透・定着を図ることができます。
3.シンプル評価制度
評価制度は、外国人社員を含む従業員の全てに行き渡り(すなわち理解でき)、継続して活用可能な制度であることが重要です。一度活用してそれっきりでは、せっかくの評価制度もなんら意味を持ちません。
評価制度を導入する際、さまざまな評価視点を取り入れて複雑多岐な制度になりがちです。しかし、外国人社員を実際に評価する管理職にとっては、その制度を説明することは困難です。管理職の負担にならず、また外国人社員の理解を得るためにもシンプルな制度から始めることを考慮する必要があります。
4.管理職の責任
管理職は、自分の属する上位の部門目標の設定に責任をもって参画しなければならず、自分の仕事の責任だけ果たせばよいというわけではありません(“成果責任”(目標管理))。 外国人社員に対しても「自分に何を求められているか、自らの成果が何によっていかに評価されるか」を理解させる必要があります。
また、“成果責任”を負っているのと同時にグループのリーダーとしての“管理責任”も負っています(プロセス管理)。そうした管理職の方のためにも目標意義や評価方法を明確化することが重要です。