「在留特別許可」というのは、日本から退去強制され出国することを前提とした手続きの一環で行われる特例的な措置のことです。言い換えれば、不法滞在やオーバーステーなどで退去強制事由に該当し、本来であれば日本から退去強制させなければならない人を、様々な事情を考慮して例外的に日本での在留を認めるのが「在留特別許可」です。これを申請するには、退去強制手続きを受けなければなりませんので、結果として「在留特別許可」が認められなければ、当然に退去強制令書が発行され日本から出国しなければなりません。
「在留特別許可」は法務大臣の自由裁量による問題とされており、法律上では在留特別許可を外国人本人が申請する権利は無いものとされています。申請するための権利がなければ、申請する手段が存在しないことになります。そのため、入国管理局などで「在留特別許可」について問い合わせをしても、場合によっては「そんな申請はありません。」と対応されることもあります。あくまでも「在留特別許可」を申請するためには「退去強制手続き」の申請をすることになります。
また、最終的に法務大臣が「在留特別許可」を与えなかったとしても、その判断が自由裁量である以上、与えなかったこと自体が違法となる事は原則としてありえません。
もちろん、その決定が不当であるかどうかと言う問題は残りますが、前述したとおり国際法上の一般原則にもあるとおり、どのような外国人の滞在を許可するかは主権国家の自由であり、外国人本人から在留を求める事を要求する権利はないとされているため、在留特別許可をもらう際の外国人の立場は非常に弱いものです。以下は在留特別許可に関する判例ですが、ここにも示されているとおり、“日本人と結婚すれば必ずビザがもらえる”といった単純なものではありません。
ただし、一般的に「在留特別許可」が許可されやすい内容としては、次のようなケースが考えられます。
1.日本国籍を持つ人と結婚した外国人
2.「永住者」、「定住者」の在留資格をもつ外国人と結婚した外国人
3.日本人との間に生まれた日本国籍の子の親である外国人
当然、日本人と結婚していていも不許可となり退去強制になるケースもありますし、逆に結婚などしていなくても不法滞在をして日本に10年以上在留していた家族が許可された例もあるので、一概に上記のケースがすべてと言う事ではありません。あくまでも個別の状況に応じて判断されるものです。