1. 外国人雇用.com
  2. ビザ申請の実務
  3. 就労ビザ手続き

外国人雇用の基礎知識

1.外国人雇用と就労ビザ

1.外国人雇用の第一歩

 外国人雇用の第一歩はビザ申請といっても過言ではありません。どんなに優れた人材を採用できたとしても、正規のビザが取得できなければ日本での就労が認められないからです。

 そのため、「永住者」などの就労に制限がないビザを持つ人を除き、外国人社員を採用するためにはまず就労ビザの基準を考えなければなりません。応募者の中からビザの条件に合致する人物を採用するようにすれば、後々のビザ手続きもスムーズに行うことができます。

2.就労可能なビザ

 外国人が日本に入国する際には在留資格(ビザ)が与えられ、これにより日本に滞在できる期間や活動内容などが決定されます。27種類ある在留資格のうち国内での就労が認められているものが“就労ビザ“と呼ばれます。
就労ビザの具体例(一部)
「技術・人文知識・国際業務」・・・IT技術者、通訳者、貿易担当者、海外業務など
「企業内転勤」・・・Expats(海外本社・支社などからの出向者)など
「経営管理」・・・事業部長、工場長、取締役などの管理者

 また、これらの同伴家族のための「家族滞在」ビザなどもあります。

3.押さえておくべきビザ手続き

 ビザ申請には多くの手続きがありますが、人事・総務の方が実務上で扱うものはごくわずかです。
外国人雇用企業でよく利用される手続
・海外からの呼び寄せ・・・在留資格認定証明書交付申請(一般的には“認定”と呼ばれます)
・ビザ更新・・・在留期間更新許可申請(一般的には“更新“とよばれます)
・ビザ変更・・・在留資格変更許可申請(一般的には“変更”と呼ばれます)

 既に日本にいる外国人留学生を雇用する場合には、「留学」から「技術」などへの“変更”申請を行います。海外在住の人材を呼び寄せる場合には、「人文知識・国際業務」などの“認定”申請を行います。

4.ビザと在留資格の違い

 “就労ビザ”のように「ビザ」と「在留資格」はよく混同されて使われます。
ビザ・・・日本への渡航を希望する外国人に、海外の日本大使館などが発行する推薦状
在留資格・・・日本入国後の活動内容、滞在期間などを定めたもの

 原則、外国人が日本に入国するためには事前に日本大使館などで「ビザ」を取得し、それから日本での入国審査の際に「在留資格」が与えられます。(観光目的や再入国などの一部の例外はあります)

 厳密に言えば「ビザ」と「在留資格」は違うものですが、企業の実務上では混同しても問題ありません。入国管理局で「就労ビザの申請…」と言っても問題なく対応してくれます。

2.ビザ申請の実務

1.ビザを申請するには

 外国人社員を呼び寄せたり、ビザの更新をする場合には、最寄りの入国管理局で申請を行ないます。入国管理局とは法務省の一部局で、空国や港での出入国審査や日本に滞在する外国人の管理などを行っている機関です。 ビザ申請などを行う場合、それぞれの地域ごとに審査を行う入国管理局が定められています。
①雇用企業が外国人社員を海外から呼び寄せる場合
   ・・・勤務地を管轄する入国管理局(地方支分部局、支局、出張所)
②既に日本に滞在する外国人社員がビザ更新などを行う場合
    ・・・外国人社員の住所地を管轄する入国管理局(地方支分部局、支局、出張所)

 ただし、地域によっては例外もあるため、事前に申請しようとする入国管理局に受付可能かどうかを確認することをお勧めします。

2.代理で申請できるケース

外国人社員のビザ申請を本人の代わりに提出することができる人は限定されています。  
代理人・・・外国人社員を受け入れる会社の職員など
申請取次者・・・地方入国管理局に届け出た弁護士、行政書士
法定代理人・・・16歳未満の子供の申請における両親など
 通常、海外から外国人社員を呼び寄せる場合には、企業の人事・総務の方が代理するか、弁護士や行政書士などの専門家に依頼するのが一般的です。

3.審査基準

 ビザにはそれぞれおおまかな審査基準が設けられていますが、その内容は非常にあいまいです。また、審査官の判断にゆだねられるような微妙な判定は、その時の社会・国際情勢などにより適宜変更されることもあるとされています。  

 そのため、以前と同内容の申請を行っても必ずしも結果が同じになるとは限らず、常に最新の情報を基に万全の態勢で挑むことが大切です。

4.提出資料と申請記録

 ビザ申請に当たっては「申請人が自ら在留資格に該当することを立証しなければならない」という考えが原則となっています。ホームページなどで公開されている必要資料は申請が受理されるための資料であり、確実に許可を取得するためには他の資料を添付したほうがよいケースもあります。  

 また、一度申請した内容は原則として記録されます。そのため、不許可となり再申請を行う場合には、過去の申請内容と新規申請の内容を照らし合わせることも考えられます。

 書類上での矛盾などが生じないよう、ビザ申請に当たっては雇用企業が一貫した人事方針に基づいて行動することが求められます。

3.不法就労を避けるために

1.不法就労とは

 一般的な不法就労では、入管法で認められていない職務に就くケースが大半を占めます。観光ビザと呼ばれる「短期滞在」で入国した者に就労させる場合や、「人文知識・国際業務」などを所持する者が工場内での単純作業に従事するような場合が該当します。

 例え正規の在留資格を所持しており合法な職務であっても、入管法で定められた活動範囲を超えると不法就労となります。

 雇用企業は、在留資格ごとに定められた業務範囲をしっかりと把握することが大切です。

2.雇用企業への罰則

不法就労で雇用企業に課される処罰には「不法就労助長罪」があり、概略は以下のとおりです。
①外国人の不法就労活動を助長した者
入管法第73条の2第1項の罪により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。

②不法入国者又は不法上陸者をかくまう等の行為をした場合
入管法第74条の8の罪により3年以下の懲役又は100万円以下の罰金(営利目的であれば5年以下の懲役及び300万円以下の罰金)に処せられます。
 このように法律で処罰される他、今後のビザ申請などにも重大な影響を与える可能性があります。雇用企業では、しっかりとした受け入れ態勢を築くことが重要となります。

3.事実とは異なる申請

 ビザ取得後に職務内容や就業条件が変更された場合などでは、結果として入国管理局に申請した内容とは違う条件で雇用することにもなりかねません。このような状況では入国管理局の調査が入った場合や次回のビザ更新時など、様々なトラブルが予想されます。  

外国人社員のビザ取得後に人事異動などを行う場合には、入管への申請状況などを考慮すれば不要なトラブルなどを防ぐことができます。

4.外国人雇用のルールを熟知する

外国人を雇用してビザ申請を行うのであれば、入管法や外国人登録法などの最低限の知識は身に着けておかなければなりません。入国管理局に申請書類を提出した後で間違いに気がついたとしても、その内容を訂正するのは大変な手間がかかります。特にその箇所が審査上の重要なポイントとなる場合には、書類作成者に詳細な事情説明が求めらることもあります。

雇用企業の人事・総務の担当者などがしっかりと基本を理解することが大切です。

4.雇用企業が気を付けること

1.ビザの期限管理

 雇用した外国人社員のビザ期限は、人事・総務などが常に管理することをお勧めします。  

 ビザ更新は入国から数年後に行われるため、海外への出張などが少なくパスポートを利用する機会が少ない場合には、本人も期日を忘れてしまうことがあります。例え悪意がなかったとしても、ビザ更新をしなかった場合には不法滞在となるため、受入企業として難しい対処を迫られることもあり得ます。

雇用企業がしっかりとした管理体制を築くことが大切です。

2.再入国許可の有無

 ビザの期限と同様、外国人社員の再入国許可の期限についても管理したほうがよいでしょう。1年以内の出張であれば「みなし再入国許可」があるので、出国中に在留期限が到来するなどの特別な事情がなければ、原則として出入国は自由にできます。ただし、みなし再入国許可で出国した場合には、海外の日本大使館などで行う再入国許可の延長はすることができません。1年以上の出国など、長期の予定がある場合には、従来通り数次の再入国許可を取得しておけばまちがいありません。

     海外にいる外国人社員の再入国許可が切れてしまった場合には、原則として再びビザ申請を行わなければならず、来日までに数か月かかることもあり得ます。このような状況では業務に重大な影響を与えることも考えられるため、ビザの期限と再入国はセットで管理することをお勧めします。

3.入管法に即した雇用

  正規のビザが取得できた後も、外国人社員を雇用する企業は入管法や労働法を守り適正な雇用を行わなければなりません。例え意図的ではなかったとしても入管法に違反した状態での雇用は不法就労となり、法的に雇用企業の責任が追及されたり、今後のビザ申請に影響がでる可能性もあります。

 そのため、雇用企業としては、日本人を雇用する以上にしっかりとした労務管理を実施することが求められます。

4.従業員の適正な管理

 とりわけ外国人雇用においては、社員の適切な管理が重要となります。以前あったケースとでは、ITエンジニアが勤務時間外に知り合いの中華料理屋でアルバイトを行ない、不法就労として強制送還された例があります。また、良からぬ同国人との付き合いからトラブルに巻き込まれ、本人に落ち度はなくても警察から入国管理局へと通報が入り、ビザ申請時に不利益を被った例もあります。   

 本人のプライバシーを侵害しない範囲で日ごろからコミュニケーションをとるようにすれば、このようなトラブルの大半は防ぐことが可能です。

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