インドネシア人看護師ら受け入れ――言語・医療水準の差、課題(2008/05/29)
インドネシアと日本両政府は十九日、ジャカルタで経済連携協定(EPA)に基づくインドネシア人看護師・介護福祉士の受け入れで最終合意した。七月から今年最大五百人が派遣される。日本政府による外国人労働者の本格的な受け入れは初めて。国内外で『人材開国』への第一歩との期待も高まっているが、様々な壁も立ちはだかっているようだ。
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「日本は豊かな国。ぜひ行きたい」。インドネシアの労働・移住省は二十七日から三日間限定で日本派遣の看護師・介護福祉士の募集を行ったが、初日から千人以上の希望者が殺到した。
応募者の一人、バンドン在住のリナさん(25)。看護師になって五年だが、月給は二百万ルピア(約二万二千円)に満たない。「日本に行けば、この十倍は稼げる」と期待を込める。両政府の交わした覚書には賃金の具体的な記載はないが、日本人と同等とあり、二十万円以上の給与は保証されているとのうわさが独り歩きしている。
両政府は今年、インドネシア人看護師二百人、介護福祉士三百人、二年間で最大一千人を日本の医療機関や福祉施設などに受け入れることで合意した。インドネシア側が選抜試験を実施、七月末には第一陣を日本に送り込む。
その後半年間、日本語などの研修を実施。看護師は三年間、介護福祉士は四年間それぞれ勤務後に日本の国家資格を受験。合格すれば、半永久的に看護師・介護福祉士として日本で働くことが可能となる。これまで外国人労働者の受け入れに消極的だった日本政府にとっては人材開国につながる画期的な事業だ。
しかし、開国への道のりは容易ではない。インドネシアは比較的、日本語学習熱の高い国だが、日本語に堪能な看護師はほとんどいない。リナさんも日本語を半年間受講したことはあるが、「日本語は複雑」と片言しか話せない。
肝心の医療レベルも問題だ。インドネシアは東南アジアでも医療水準は決して高くない。インドネシア人の富裕層や在留邦人はシンガポールやマレーシア、タイの病院で健康診断や治療を受けるケースが多い。シンガポールの有名病院の入院患者の半数以上がインドネシア系華人。年間五百億円以上の医療収入が海外に流出しているといわれている。
インドネシアは熱帯地域の途上国のため、感染症の患者が多く、この分野での専門医や看護師の知識や経験は豊富。だが日本では循環器系疾患の患者が多く、インドネシアの看護師らが日本の医療現場のニーズに対応するのは簡単ではない。日本語の壁もあり、三年間の勤務で日本の国家資格を取得するのは至難の業とみる向きもある。
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インドネシア側は資格条件の緩和を求めているが、日本側から前向きな回答はないという。三、四年後に何人のインドネシア人が難関の国家試験を突破できるのか。日本が真の人材開国となるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
2008/05/29, 日本経済新聞




