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北関東雇用最前線人が足りない(2007/08/02)


雇用延長や「一芸枠」導入」

 買い物客がカゴから一つ一つ商品を手に取り、バーコードを読み取り機にかざして支払いを済ませていく――。ホームセンター大手のカインズ(群馬県高崎市)は今年、セルフレジの導入を業界で初めて本格的に始めた。通常は一台に一人必要なレジ係が四台に一―二人の配置とした。群馬や栃木、静岡などの十七店舗に導入しており、来年二月までに二十一店舗に広げる計画だ。

 人手不足に悩む企業は対策に躍起だ。最も一般的なのが定年後の雇用延長。流通業や製造業ではパート・派遣社員の正社員雇用も目を引く。

初任給引き上げ

 過去二年で五十人前後の派遣社員を正社員化した東京特殊硝子藤岡工場(群馬県藤岡市)は「派遣会社に正社員雇用を約束すると優先的な派遣を受けられる」と利点を語る。外食チェーンの元気寿司や書店のうさぎや(栃木県さくら市)などは、パート社員を正社員とした上で店長に登用している。

 金融機関で目立つのが初任給の引き上げだ。足利小山信用金庫(栃木県足利市)が四月に一万円引き上げたほか、桐生信用金庫(群馬県桐生市)も十年ぶりに六千円引き上げた。初任給は県内金融機関で最高水準となり、今春の新卒採用では学生のエントリー数が二割以上増えたという。

 海外採用に積極的なのはソフトなどの設計開発業。ケーシーエスデータワークス(水戸市)は瀋陽や大連で中国人技術者二十人を採用、ユー・ドム(同)も今春採用の十四人のうち二人をフィリピンで採用した。韓国や中国などを含め海外で九人の採用実績があり、「レベルを落として国内で数をそろえるよりはいい」と森明彦社長は意義を強調する。

官民連携で面接

 群馬県太田市は四月、求職者の職歴や自己PRをホームページに掲載し、企業が指名して面接する「就職ドラフト制度」を開始。五件の成約があった。

 「つくばインターンシップ・コンソーシアム」を設立した筑波大学から四人の学生を受け入れたのは、流体計測機器のツクバリカセイキ(つくば市)。基礎的な実験方法から会計の仕組みまでを教え、将来の入社に期待をかける。

 企業の人集めを後方支援する自治体や大学だが、自らも人手不足の波と無縁ではない。足利市では行政職の受験者が三年間で三割減。新たに「スポーツ採用枠」を用意して人材掘り起こしを狙う。水戸市も志望者減をにらみ、企業の総合職にあたる上級事務職の受験資格を二十八歳から三十歳に引き上げた。

 市町村の採用拡大の動きを「無理に枠を広げても、優秀な人材が集まるわけではない」と、ある茨城県幹部は冷ややかに見つめる。「『粗製乱造』になれば行政サービスの質が低下し、本末転倒になる」
 この言葉はそのまま企業にも当てはまる。安易な採用拡大やコストの投下は体力をそぐ危険性もはらんでいる。

 スーパーのカスミは六月、茨城県守谷市の新店で約二十年ぶりに「縁故採用」を実施した。社員らの紹介でアルバイト希望者が面接を受けると紹介者に五千円を、一カ月間働き通すと一万円を支払う仕組み。六人が採用された。

 宇都宮市は五月、職員採用試験に全国でも珍しい「自己アピール採用」を採り入れた。スポーツや芸術に秀でた人材に筆記試験を免除する内容。定員五人の枠に対し、応募者数は百二十人に達した。

 人手不足の問題解決には、既成概念にとらわれない自由な発想も求められる。人が集まらない組織には未来はない。組織の個性に合った柔軟な対策と創意工夫が試されている。

2007/08/02, 日本経済新聞

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