大手企業、外国人留学生に門戸拡大(08採用前線後編)(2007/05/03)
大手企業が日本の大学で学ぶ外国人留学生の採用を拡大する。松下電器産業や富士通は二〇〇八年春入社の新卒で三十人規模の採用枠を初めて設定、自動車用組み電線大手の住友電装は入社した留学生を戦力に育成するための体制づくりに乗り出す。国際展開の加速には多彩な文化的背景を持つ人材が必要になると判断した。海外にいる日本人留学生の雇用も増えており、採用活動のボーダーレス化が進み始めた。
松下の国内勤務の外国人は現在、百数十人にとどまっているが、今後三年間で新たに百人採用する。留学生を主体とし、海外大学卒業の外国人も一部含む。グローバル採用チームの柿花健太郎チームリーダーは「松下自体を様々な人種のるつぼにして国際戦略の立案や遂行に役立てる」と狙いを説明する。
同社は六月、東京で外国人留学生向けの就職セミナーを独自に開く。会場内に事業部門ごとの面接ブースを設けて留学生を呼び込む。部門間で競争させることで優秀な人材を掘り起こす。
富士通は採用計画人数五百八十五人のうち約三十人を外国人留学生とする。従来も留学生の採用実績はあるが、来春入社分からは計画人数を明示し積極採用する。企画、開発、経理・財務など幅広い分野で海外事情に明るい人材が求められているとみて、配属先は海外部門に限定しない。
旭化成は十人弱の採用を目指す。「日本人と遜色(そんしょく)ない技術や知識を持つのに、採用競争はあまり激しくない」と指摘し、留学生採用を人材確保の有力な手段と位置づける。
留学生を長期的な視点で育成する取り組みも始まった。住友電装は全体の採用数にかかわらず毎年十―十五人の留学生を採用する計画。研修などを通じて入社後もきめ細かくサポートするため、昨年設置した専門部署「人材開発部」の機能を拡充する方針だ。
法務省入国管理局によると、日本企業への就職を目的に在留資格を変更した留学生は〇五年で前年比一一・七%増の五千八百七十八人。五年前の二倍だ。毎日コミュニケーションズ(東京・千代田)が今年一―三月に実施した調査では、外国人留学生を積極的に採用する上場企業(有効回答二百八十三社)は前年より三・一ポイント増え一六・七%だった。外国人留学生の就職件数は今後も増加傾向が続きそうだ。
一方、日本経済新聞社の調査によると、日本人留学生などを対象に海外で新卒採用に乗り出す企業は八・八%の二百二十九社に達した。
2007/05/03, 日本経済新聞




