

国の許可を得ず派遣業を営み、不法残留中の外国人を自動車部品工場へ派遣していたとして、奈良署などは6日、三重県鈴鹿市大池3、派遣会社社長、住田豊明容疑者(55)と同県亀山市栄町、同、井野尚容疑者(67)を労働者派遣法違反、入管法違反(不法就労助長)の容疑で逮捕した。また6日までに、2人を通して同県内の自動車部品工場で働いていた、インドネシア、モンゴル、中国の22~46歳の男女9人を入管法違反(不法残留)容疑で逮捕した。
調べでは、外国人9人は、95~05年の間に短期滞在のビザなどで入国。滞在期限が切れた後も不法滞在し、住田、井野両容疑者を通じ、工場で働いていた疑い。住田容疑者は容疑を一部否認、井野容疑者は容疑を全面的に否認している。
4月7日毎日新聞 朝刊
二〇〇六年に空港などで入国を拒否された外国人は一万千四百十人にのぼり、過去五年間で最多となったことが法務省入国管理局のまとめで分かった。国籍・出身地別では、短期滞在者の査証(ビザ)が免除された韓国と台湾がそれぞれ二ケタ台で急増。同局の担当者は「滞在期間や目的が不明確な入国者への審査を厳格にしたため」と説明している。
〇六年に入国拒否した外国人数は前年に比べて六・四%増。国籍・出身地別では韓国が四千百二十一人とトップで、前年比二二%の大幅増となった。次いで中国が千三十三人で同五%減、台湾が九百四十二人で同五六%増、フィリピンが九百三十人で同六%増となった。
入国拒否の理由別にみると、観光や短期商用、親族の訪問などとしながら、日程や滞在先が不明確であるなど、入国目的に不審な点があるケースが全体の六九%を占めた。
空港・港別では、成田空港が最も多い六千八百五十三人、関西空港が千六百六十四人、中部空港が千四百四十五人となり、三空港で九割近くとなった。
韓国、台湾からの短期滞在者のビザについては、〇五年の愛知万博の開催をきっかけに免除。韓国、台湾方面からは入国者の総数自体が増えているという。
2007/04/05, 日本経済新聞
法務省は十七日、日本に滞在する外国人が在留資格を変更したり、期間を延長する際の要件を明示するガイドライン(指針)を公表する方針を固めた。許可するかどうかは事実上、法相の委任を受けた各地方入国管理局の現場の裁量で判断しており、申請者や経済界から「不透明」との批判が出ていた。指針に客観的な基準を盛ることで外国人らが理解しやすいようにする。二〇〇七年度中の公表を目指す。(在留資格は3面「きょうのことば」参照)=関連記事3面に
出入国管理及び難民認定法(入管法)は法相が在留資格変更と期間更新を許可すると規定。通常は地方入管局の当局者が、書類審査や本人らとの面接などを通じて在留中の生活・活動状況を把握し、総合的に判断する。ただ要件を明示した文書などはない。外国人にとって可否の基準がわかりにくく、不許可の場合の理由も不明確だとの指摘がある。
留学生が卒業後、日本国内の企業で働く際、資格変更に失敗したり、在留期間の更新を重ねても「一年」から「三年」への延長が認められない例も多い。
法務省は増加傾向にある在留外国人の現状に配慮。「裁量制」を基本的に維持しつつ、外国人が許可を申請する際に証明すべき事項を指針で示す。明確化する要件としては、活動状況の詳細のほか、納税や社会保険への加入の状況、国内での雇用労働条件などを盛り込む案が有力。日本に滞在する家族らの就職、就学の状況や、日本語能力なども新たな要件として加える必要があるかどうかも検討する。
2007/03/18, 日本経済新聞
ロシア人女性と日本人の偽装結婚の摘発が相次いでいる。自国の貧富の格差拡大などを背景に、日本の盛り場で働くロシア人女性が目立っており、日本人との「結婚」で長期在留資格を得るためとみられる。警視庁は昨年秋以来、「夫」や仲介者も含め計二十一人を逮捕。大阪府警も二月下旬に四人を逮捕した。
警察当局は中国人女性らに続く新たな偽装結婚の出現に警戒を強めている。
今年一月三十日。東京・錦糸町のショーパブと系列店に踏み込んだ警視庁組織犯罪対策一課などは、日本人の無職男(47)と偽装結婚した疑いでロシア人ホステス、アブラモバ・リュウバ容疑者(26)を公正証書原本不実記載・同行使容疑で逮捕した(後に起訴)。
発端は別の偽装結婚事件だった。逮捕、起訴された埼玉県越谷市のリサイクル会社会長(38)が「ロシア人女性らと日本人の偽装結婚を五十件近く仲介した」と供述。このうちの一人がリュウバ容疑者だった。
両店にいたホステス三十人は大半がロシア人。うち十三人は正規に長期在留・就労できる「日本人の配偶者等」の在留資格を持っていた。ところが「夫の仕事は」といった質問にしどろもどろ。外国人登録証の住所が北陸や東北の女性もおり、同課は偽装結婚の疑いが濃いとみている。
組対一課などは在留期間が最長九十日で原則として就労できない「短期滞在」の資格で両店で働くなどしていた十五人も入管法違反容疑で拘束。このうち複数のホステスが、日本での婚姻届に必要とされる出生証明書を故国から持参、「偽装結婚するつもりで来日した」と供述したという。
同課はロシア人パブなどの飲食店が、偽装結婚を希望する来日ロシア人女性の「受け皿」になっているとみている。大阪府警も、ロシア人女性をホステスとして日本で働かせるため日本人と偽装結婚させたとして、飲食店経営者ら四人を公正証書原本不実記載・同行使の疑いで逮捕した。
日本経済新聞 夕刊
大手企業が日本の大学で学ぶ外国人留学生の採用を拡大する。松下電器産業や富士通は二〇〇八年春入社の新卒で三十人規模の採用枠を初めて設定、自動車用組み電線大手の住友電装は入社した留学生を戦力に育成するための体制づくりに乗り出す。国際展開の加速には多彩な文化的背景を持つ人材が必要になると判断した。海外にいる日本人留学生の雇用も増えており、採用活動のボーダーレス化が進み始めた。
松下の国内勤務の外国人は現在、百数十人にとどまっているが、今後三年間で新たに百人採用する。留学生を主体とし、海外大学卒業の外国人も一部含む。グローバル採用チームの柿花健太郎チームリーダーは「松下自体を様々な人種のるつぼにして国際戦略の立案や遂行に役立てる」と狙いを説明する。
同社は六月、東京で外国人留学生向けの就職セミナーを独自に開く。会場内に事業部門ごとの面接ブースを設けて留学生を呼び込む。部門間で競争させることで優秀な人材を掘り起こす。
富士通は採用計画人数五百八十五人のうち約三十人を外国人留学生とする。従来も留学生の採用実績はあるが、来春入社分からは計画人数を明示し積極採用する。企画、開発、経理・財務など幅広い分野で海外事情に明るい人材が求められているとみて、配属先は海外部門に限定しない。
旭化成は十人弱の採用を目指す。「日本人と遜色(そんしょく)ない技術や知識を持つのに、採用競争はあまり激しくない」と指摘し、留学生採用を人材確保の有力な手段と位置づける。
留学生を長期的な視点で育成する取り組みも始まった。住友電装は全体の採用数にかかわらず毎年十―十五人の留学生を採用する計画。研修などを通じて入社後もきめ細かくサポートするため、昨年設置した専門部署「人材開発部」の機能を拡充する方針だ。
法務省入国管理局によると、日本企業への就職を目的に在留資格を変更した留学生は〇五年で前年比一一・七%増の五千八百七十八人。五年前の二倍だ。毎日コミュニケーションズ(東京・千代田)が今年一―三月に実施した調査では、外国人留学生を積極的に採用する上場企業(有効回答二百八十三社)は前年より三・一ポイント増え一六・七%だった。外国人留学生の就職件数は今後も増加傾向が続きそうだ。
一方、日本経済新聞社の調査によると、日本人留学生などを対象に海外で新卒採用に乗り出す企業は八・八%の二百二十九社に達した。
2007/05/03, 日本経済新聞
復活導く「考える工場」
「セル」改良13年、ノウハウの拠点
モノ作り復権を掲げて登場した中鉢良治社長が就任三年目を迎えるソニー。二〇〇七年三月期の連結決算ではエレクトロニクス部門が四期ぶりの黒字を見込むなど、復活の兆しも見える。ただノートパソコン用バッテリーの発火問題では、コスト優先の弊害が露呈し、信頼は大きく傷ついた。どん底からの復活を目指す取り組みを追った。
薄型テレビで出遅れ、エレクトロニクス部門が赤字に苦しんできた間も、年間数百億円の営業利益をたたき出してきた工場が愛知県にある。生産子会社、ソニーイーエムシーエス(ソニーEMCS)の幸田テック(愛知県幸田町)だ。
世界初の家庭用ビデオデッキの量産工場として、創業者の故盛田昭夫氏が米国西海岸の「インダストリアルパーク」をイメージしてつくった工場は緑が多く、公園の雰囲気すら漂う。木立の高さが操業三十五年という年月を感じさせる。主力製品はソニーが世界シェア約四割を誇るビデオカメラ「ハンディカム」。世界に年間約七百万台を供給する拠点だ。
組み立てラインを流れるのは学校給食で使われるようなトレー。電子の目であるCCD(電荷結合素子)など付加価値の高い内製部品がカメラ一台分、きれいに「配膳」されている。作業者は隣の作業台からこのトレーを受け取る。自分が担当する部品を組み立て終わると、また次の作業者がトレーを受け取る仕組みだ。
組み立て終わると空になったトレーはラインの先頭に戻り、再び配膳される。一台ごと完成させていく「一個流し」と呼ばれる多品種少量生産に適した方式だ。
「振り向く動作のムダを排除し、余分な仕掛かりを無くした」。セット製造グループプロダクト製造2部の小寺利美統括部長はこう説明する。以前のセル生産方式は作業員の周りに設置した棚から必要な部品を取り出していたが、今はそんな部品棚もない。次の作業者が組み立てに手間取れば、ラインはそこでストップするため余分な仕掛かり品が発生しない。中間在庫がゼロという究極の生産方式と言える。
九四年に「うさぎ追い」式と呼ばれる最初のセル生産方式を導入してから十三年。セル生産は製品の部品点数や量、納期、コストなど様々な条件を加味しながら、時間とともに形を変えて改良が加えられてきた。九二年からこれまでの改良で六千六百人分の仕事が浮き、約九万平方メートルのスペースを節約した。
だが効率的な生産ラインだけならほかにも優れた工場はたくさんある。幸田テックの特色は頭脳を持つ工場という点だ。約千五百人の社員のうち組み立てなどの現場で作業しているのは三分の一に過ぎない。大半は設計などのエンジニア。生産技術を担当するだけでなく、商品企画の段階から本社の設計やマーケティング部隊と一緒に開発に参画する。デザインについても製造現場の立場から提案する。
「フレキシブル基板を使って、囲むように配置すれば本体をもっと小さくできる」「この筐体(きょうたい)を五ミリ低くすれば、治具を使えるのでもっとコストダウンができる」
組み立てラインで目立つのは正社員よりも外国人労働者の姿だ。ニッポンの工場では当たり前になった光景だが、幸田テックは労働者の国籍に品質が左右されない徹底した教育システムを編み出した。
作業者が覚えなければならない五十項目は映像マニュアルにしてある。イントラネット上でいつでも閲覧できるようにした。例えば設備オペレーターの場合、コンピューター画面でパーツの取り付けを選ぶと、その手順が音声付きの動画で表示される。注意すべきポイントは拡大画面でさらに詳しい説明がでる。
こうした「映像マニュアル」は二十種類以上にのぼり、毎月のようにその数が増えている。対応言語もポルトガル、中国語版など四カ国語。幸田テックだけでなくソニーEMCSの国内十工場のほか、マザー工場として生産支援する海外工場にも順次、配備する計画だ。モノづくり復活へ、強い工場のDNAを移植する試みが始まる。
2007/05/08, 日経産業新聞
「優しさ」が富を支える
「母国に残した家族をフヨウ(扶養)に入れられないでしょうか」「会社がネンマツチョウセイ(年末調整)してくれない」
愛知県豊橋市で二月中旬に開かれたポルトガル語の納税相談会。市内に住む在日ブラジル人から確定申告書の書き方や納税方法などの質問が相次いだ。同相談会の参加者は二百人。開始から四年で五倍に増えた。
ブラジル人4割
発足当初は還付金目的の相談が主で「行けばお金がもらえる」とのうわさが出た。だが今では「マイホームを買った在日ブラジル人が、固定資産税や住宅ローン減税について相談してくる」(国際交流協会常務理事の佐藤信次=57)。
トヨタ自動車のおひざ元、愛知県豊田市にある保見団地。約九千人の住人の四割が自動車関連工場などに勤めるブラジル人。市は、ブラジル人店員が働くショッピングセンターの誘致を後押し。救急車が立ち往生するほどの違法駐車解消に向け五千万円を投じ四百台分の駐車場を確保した。同市は外国人の定住支援に年二億円を費やす。
「なぜそこまで」。在日ブラジル人の犯罪やトラブルに不満を持つ市民からは、こんな声もあがる。だが豊田市長の鈴木公平(68)は「外国人に住みよいまちづくりは最優先」と迷いがない。ポルトガル語で食事のメニューを表示するよう市内のレストランに要請することすら検討している。
豊田市の今年度の法人市民税収は、前年度比六割増の四百三十億円。個人市民税も二割近く増え三百十七億円の見通し。国からの地方交付税交付金も原則受け取っておらず全国でも指折りの豊かな自治体だ。異質な文化や慣習との摩擦はある。が、それを避けようと閉じた社会になればグローバルな競争から脱落。企業も市も、そして結局は住民の生活も貧しくなる。豊田市の「優しさ」はグローバル化と折り合うなかで生まれた。
国と連携に課題
もっとも国の外国人受け入れ策はまだ腰が定まらない。受け入れを広げるのか。広げるならどういう基準でどこまでか。インフラはどう整えるのか。企業や自治体が動いてもすべてが解決できるわけではない。
ログハウス建築のフリージアホーム(東京・千代田)では約六十人のロシア人大工が働く。だが「移民の子孫である日系ブラジル人と違い日本に血縁関係のない外国人は定住ビザが下りにくい」と採用担当者。ロシア中部出身の男性(46)は「家族を日本に呼ぶのが夢だったが定住はあきらめざるを得ない」とうつむく。
「ブラジル人妊婦が通りで迷っている」。昨夏、群馬県大泉町役場にこんな通報があった。所持金はゼロ。健康保険にも未加入。同町は「滞在は困難」と判断し帰国を促すことにしたが、出産費用の手当てなど問題が山積。省庁に問い合わせると「医療費は厚生労働省の担当ですが、送還手続きは法務省か外務省に」などたらい回しが相次ぎ、女性の帰国に一カ月半かかった。
日本に在留する外国人は二〇〇五年に二百万人を超えた。急増する中国は五十万人。移民の子孫が多く定住傾向が強いブラジルの三十万人など、新興国からの来訪者たちが上位を占める。
在留外国人の多い十八市町は昨年末、住民登録や社会保険など外国人に関係する手続きを一貫して手掛ける「外国人庁」の創設を国に要請した。「点」から「面」へ。新興国との接触の深化は、国の行政インフラにも未来と向き合うよう求め始めている。=敬称略
2007/05/08, 日本経済新聞
メガバンクが外国人幹部の執行役員登用などを進め、海外事業を収益の柱の一つに育てようとしている。
みずほコーポレート銀行(CB)は二〇〇五年十月、ロンドン支店で経営陣による企業買収(MBO)を統括するジェレミー・ゴーシュ欧州営業第三部長を執行役員に昇格させた。欧州の収益の半分をMBO業務で稼いでいることを評価した。
海外拠点の拡大に伴い、現地スタッフの採用も増やしている。みずほ証券の関連会社、米国みずほ証券は三月、仏カリヨンから七億五千万ドルの損害賠償請求を提起された。債務担保証券業務を手掛けるカリヨン元社員十一人がみずほに移籍したことに対するものだ。欧米での人材獲得合戦ではこうした訴訟は珍しくない。海外市場での「邦銀復活」の象徴ともいえる。
みずほCBは〇六年二月から定期的に東京で外国人幹部に研修を実施し、将来の経営を担う現地人スタッフを育成している。斎藤宏頭取が講演するほか、外国人幹部と国際部門担当幹部が議論する。相互理解を深めるほか、拠点経営を担うために必要な地域間連携も狙いだ。
三井住友銀行は四月、執行役員に米州営業第三部長のウィリアム・ギン氏と、欧州営業第三部長のニコラス・ピッツタッカー氏を昇格させた。二人は欧米の投資銀行業務を推進。英国の民間資金を活用した社会資本整備(PFI)向け融資で世界一位となるなど活躍している。
メガバンクにとって海外市場での業容拡大は戦略的重要性が増している。国内市場の大きな伸びが見込めず、国境を超えたM&A(合併・買収)が加速しているためだ。だが世界各地での業務展開には現地の情報や人脈が不可欠。経験豊富な外国人バンカーをどう活用するか、経営手腕が試されている。
2007/05/09, 日経金融新聞
政府は十日、不正な低賃金労働などが問題となっている外国人研修・技能実習制度の改革案の骨格をまとめた。実習指導員の配置や帰国前の技能評価を企業に義務付けるほか、現在は労働者と見なしていない研修生も最低賃金法など労働法令の適用対象とする。法的保護を明確にし、実習などの目的に沿った外国人労働者の円滑な受け入れにつなげる。(外国人研修・技能実習制度は3面「きょうのことば」参照)
改革の骨格は厚生労働省が十一日に有識者研究会の報告としてまとめ、法務省、経済産業省など関係省庁と詰めの協議に入る。早ければ来年の通常国会に出入国管理法改正案など関連法案の提出をめざす。
現在は座学中心の「研修」に一年、専門的な技術を学ぶ「実習」に二年の計三年の在留を認めている。ただ企業が雇用関係のない研修期間中に低賃金で単純労働を強いるなどの問題も多発。今回の見直しでは「研修」を事実上廃止し、企業と雇用契約を結ぶ「実習」を三年に延ばすことで、入国当初から労働法令で保護する仕組みに改める方針だ。
研修・実習生の多くは事業協同組合を通じて受け入れており、悪質なあっせん業者の参入を防ぐため「五年以上の活動実績」などを要件に加える。不正行為をした企業への罰則も強化し、新規受け入れ停止期間を三年から五年に延ばす。
2007/05/11, 日本経済新聞
経済産業省は外国人研修・技能実習制度の改革案をまとめた。日本の在留期間を現行の三年から事実上、二年延長して五年にすることが柱。より専門的な技能取得を促すとともに、受け入れる企業の人材不足解消につなげる狙いがある。
外国人研修生には「研修」「技能実習」で合計三年の在留を認めている。改革案では三年間の研修を終えて帰国した後も、日本で働く意欲のある外国人には再来日を認め、二年間の「高度技能実習」を認める。高度実習では管理職としての登用も可能にする。
外国人研修制度を巡っては、厚生労働省が不正な低賃金労働などを問題視して独自の改革案を策定。法務省も検討中だ。経産省案が制度の拡充に軸足を置いているのに対し、厚労省案は「研修」を事実上廃止する方向になっており、大きな隔たりがある。関係省庁は内容を調整したうえで、早ければ来年の通常国会に出入国管理法など関連法の改正案を提出する方針だが、調整は難航する可能性がある。
2007/05/12, 日本経済新聞
外国人研修・技能実習制度の改革案をめぐり、厚生労働省と経済産業省の意見が対立している。厚労省は不正な低賃金労働などが問題だとして、規制強化による外国人の保護を優先すべきだと主張。経産省は企業にとって研修・技能実習生は必要だとし、外国人にさらに門戸を開くべきだと訴える。政府は二〇〇九年に出入国管理法など関連法令を改正する方針で、両省の主導権争いが激しくなりそうだ。
制度は一九九三年、発展途上国の人に日本企業の技術などを学んでもらうことを名目に、企業の人手不足解消も狙って創設した。日本に入国した外国人は一年間の「研修」を受けた後、二年間の「技能実習」を受ける。最長三年間、働きながら学ぶことができる。
ただ、最近は制度を悪用して外国人を不正に働かせるケースが増加。技能実習生を法律で定める最低賃金以下で働かせる例や、法律で労働者に該当しない研修生にも過酷な長時間労働を課す例などが目立ち、制度改革の必要性が指摘されている。政府はこうした声を受け、〇九年に制度を見直す方針だ。
違法行為を抑制
厚労省は十一日、研修・技能実習生の保護を前面に打ち出す改革案をまとめた。研修と技能実習を三年間の「実習」に統合することなどが柱だ。前半一年間の研修生は現在、労働法制の対象から外れていることを問題視。研修生を最低賃金法など労働法制の対象に組み入れ、違法行為を抑制する狙いがある。
技能を実地で学ぶ実習生の賃金水準が不当に低い場合には、同様の仕事をする日本人と同じ水準まで引き上げるよう必要な措置を講じる。厚労省の主張の背景には、研修・実習制度が過酷な労働など不正の温床になっているのではないかとの懸念がある。
一方、経産省が十四日発表した改革案は、企業の人手不足を解消することに軸足を置き、外国人にさらに門戸を開く内容になった。受け入れ先を大企業から中小企業にも拡大したり、管理職への登用を認めたりするのが柱だ。背景には日本人に比べて安い賃金で雇いやすい外国人の研修・実習生が、企業にとって無視できない存在になりつつある実態がある。
欠かせぬ戦力に
愛知県内のある自動車部品会社は三百人の従業員のうち、外国人研修・技能実習生が一割弱を占める。地方の製造業は日本の若者の定着率が低いとされる。「研修・技能実習生はまじめで、低賃金でも一生懸命働いてくれる」(経営者)といい、欠かせない戦力だ。
中小・零細企業の人手不足は深刻で、研修・実習生を受け入れたいと考える経営者は少なくないという。経産省案はこうした声に応えた。
法務省の調べによると、日本に入国した外国人研修生は〇六年に約九万三千人に上り、十年間で二倍以上に膨らんだ。これに伴い不正も急増。低賃金労働や長時間労働など、外国人研修・技能実習制度の不正摘発件数は〇五年で百八十件に上り、二年間で倍増した。
不正な労働実態から研修・実習生を守ることを優先するのか、外国人にさらに門戸を開くことを急ぐのか――。厚労省と経産省の改革の狙いは異なる。
そもそも外国人労働者をどう受け入れるのか、政府の腰が定まらないことの矛盾が、研修・技能実習制度を巡る混乱に表れているとの指摘もある。厚労、経産両省に法務省、外務省などを交え、関係省庁は今後、制度改革に向けた意見の擦り合わせを本格化するが、調整は難航しそうだ。
2007/05/15, 日本経済新聞
経済協力開発機構(OECD)は二十五日、世界の労働力移動などを分析した二〇〇七年版の「国際移住アウトルック」を発表した。日本は生産年齢人口(十五―六十四歳)の減少が世界最速ペースで進むなかで、外国人労働者の活用は欧州などに比べて低くとどまると分析している。就業率が上がらなければ、賃金に上昇圧力がかかると予測した。
OECDは各国の〇五年の年齢別人口をもとに、二〇年までの生産年齢人口を予測した。二〇年までの日本の減少率は一二%と、集計した二十八カ国の中では突出して大きな落ち込みになった。
生産年齢人口を〇五年水準に維持するために外国人労働者で補うとすると、年間約五十万人の受け入れが必要とOECDは試算した。実際に日本で長期就業を認められた外国人入国者数は〇五年で約二万人にすぎない。OECDは「日本はまだ(雇用の)門戸を開いていない」と指摘した。女性や高齢者の就業増や外国人労働力を十分に活用しないと、日本の潜在成長率が下押しされる可能性に言及した。
生産年齢人口の減少はドイツやイタリアでも起きているが、外国人労働者を使って労働力不足を緩和している。スペインでは高い経済成長もあり、国内の生産年齢人口減を上回る外国人労働力を受け入れている。米国や英国では生産年齢人口はしばらく増えていく。
2007/06/26, 日本経済新聞
「強制労働の状況下に置かれている労働者がいると伝えられる」――。米国務省は六月十二日に公表した強制労働や売春などを目的とする人身売買に関する年次報告書で、日本の「外国人研修・技能実習制度」を刺激的な表現で紹介した。
報告書が「強制労働」とみなしたのは同制度に基づく最長三年の日本滞在のうち一年目の「研修」。労働よりも学習が目的との名目で、最低賃金法など労働法による保護の対象外となっているためだ。制度への不満はアジアを中心とした研修生・技能実習生の出身国にもくすぶっている。
研修廃止で対立
米政府やアジア諸国からの制度見直しを求める外圧。残業代など時間外賃金の不払いや、パスポートや通帳を強制的に取り上げて自由な行動を妨害するといった法令違反のまん延をこれ以上放置できないという国内的な要請。内と外との二つの力が制度の見直しを強く促している。
政府は一枚岩ではない。まず浮上したのが厚生労働省案と経済産業省案だ。両案は「外国人の単純労働は認めない」という国の基本政策の維持では共通する。だが、労働者の権利保護に軸足を置く厚労省と、グローバル競争をにらみ安価な労働力を確保したい企業の本音を背景にした経産省との思惑はすれ違う。
両省案の大きな対立点の一つは「研修」を存続させるかどうかだ。
厚労省は「研修」を廃止し「実習」を三年に拡大することを提言した。労働法の保護対象になる「実習」に一本化することで、不正行為を防ぐ狙いを込めた。
一方、経産省は現行の「研修一年、実習二年」という制度の維持を主張する。罰則強化によって不法行為は抑制できると想定。労働法による保護の網がかからない余地を残し、中小企業などの求める「安価な労働力」の確保に配慮する。
国のあり方問う
優良な研修生に限って現行制度で最長三年の滞在期間を五年に延長することで両省案は一致している。ただ、延長する二年について、厚労省は労務管理の充実した大企業の受け入れに限定するのに対し、経産省は中小企業にも幅広く門戸を開くべきだとしている。
両省の案に一石を投じたのが長勢甚遠法相の私案だ。制度そのものを廃止したうえで、三年の期間限定で単純労働者を受け入れる内容。安価な労働力を確保したい企業の置かれた「現実」を追認しつつ、一年目から労働法の保護下に置いて外国人労働者の権利に配慮する折衷案でもあった。
長勢法相は出入国管理を所管する外国人労働者問題の「担当相」であると同時に旧労働省出身で研修・技能実習制度を熟知した政策通。私案は現行制度の抱える理想と現実の矛盾を鋭く突いただけに、及ぼした影響も予想外に大きかった。
日本経団連は「時期尚早だ」と慎重姿勢を示した。単なる制度改正と、「外国人の単純労働は認めない」という国の基本政策を転換するのとでは、議論のレベルが異なるというわけだ。
単純労働者を巡る議論は移民受け入れや外国人の永住といった国のあり方そのものを問う。派生する問題も雇用、経済成長、文化摩擦、教育、治安など幅広い。小嶌典明大阪大教授は「制度改善と並行して、今後避けて通れない単純労働者受け入れについての論議を始めるいい機会だ」と話す。
政府は二〇〇九年の通常国会に出入国管理法など関係法令の改正案を提出する見通し。日本の将来像を見据えた真剣な議論が急務となっている。
2007/06/30, 日本経済新聞
政府は日本国内で学ぶ外国人留学生らの管理を厳しくする方針を固めた。不法就労や滞在期限が過ぎた後の不法残留が後を絶たないため。大学や日本語学校などを対象に、留学生の出席日数や学費の納入状況などの報告義務付けを検討し、就学状況を国が直接把握できるようにする。安倍晋三首相が主宰する犯罪対策閣僚会議で議論し、関連法案を来年の通常国会にも提出する方向だ。
留学生については現在も各学校が入退学の状況を月一回程度、入国管理局などに任意で報告している。ただ、在学実態がないなどの事例を正確に把握できないのが実情。悪質な日本語学校が不正確な報告をしているケースもあるとされ、法律での義務付けが必要と判断した。具体的な報告内容や対象となる学校をどうするかなど検討を急ぐ。
2007/07/02, 日本経済新聞
日本流の堅実さと融合
六月二十四日、東京都内。話題の軍隊式エクササイズ「ビリーズブートキャンプ」の考案者ビリー・ブランクスの号令に合わせ、前列で汗を流す男がいた。テレビ通販「ショップジャパン」運営のオークローンマーケティング(名古屋市)社長、ハリー・ヒル(44)だ。
ブートキャンプは昨年七月から今年五月まで累計五十万セット以上を販売。七月に入ってからは一日約一万セットが売れている。
チャレンジ精神
ヒルは旧文部省の英語授業助手として一九八五年にニューヨークから来日、岐阜県に着任した。やがて名古屋で不動産仲介業を興し、九九年にオークローン社に合流。それ以来、経営のかじ取りを任されている。
「もっとチャレンジ(挑戦)を」。常々、社員にこう発破をかける。ブートキャンプの販売権獲得には自らチャレンジ精神を体現してみせた。
七年前にブランクスの格闘技式エクササイズの販売権取得に動いたが、この時は別の通販会社に先を越された。ブートキャンプが発売されると、再度挑戦。「身体より心が大切」と訴えるブランクスと、心身の鍛錬の大切さを唱える少林寺拳法有段者ヒルの考え方も一致し、ヒット商品を生み出す伏線となった。
「人脈作りや堅実な経営手法が勉強になる」と流ちょうな日本語で名古屋圏の企業風土を語る。新設したコールセンターも人件費が安い札幌を選ぶなど名古屋流のコスト意識は徹底。米国人らしい積極性と名古屋の堅実さの融合が快進撃を支える。
トヨタ自動車では六月に初の外国人取締役が誕生した。中部企業にも外国人幹部の存在が光るようになった。
三重県四日市市の食品素材メーカー、太陽化学。副社長のジュネジャ・レカ・ラジュ(55)は五月中旬、海外出張のため中部国際空港にいた。健康ブームで需要の高まる機能性食材の国際営業担当として世界中を飛び回る日々。一年のうち三分の一を海外で過ごす。
インド出身のジュネジャは発酵学を学ぶため八四年に来日した。名古屋大学大学院で博士号を取得。米国での就職が決まっていたが、当時の社長、山崎長孝(故人)から「世の中にない物を作ろう」と熱心に口説かれ、入社を決めた。
「四日市が好き」
入社後、アミノ酸やオリゴ糖などの研究で世界の食品業界の最優秀研究賞三連覇の離れ業をやってのけたこともある。バイオ技術に詳しい営業幹部として海外企業から引き抜きの声はひっきりなしだが「今の仕事が面白い。四日市も好きだし」
ジュネジャ肝いりで始めたのが「ポストドック制度」。博士号を持つ優秀な研究者を四日市の研究所に集めた。これまで米国やフィリピンなど二十カ国以上の研究者が机を並べてきた。「将来の国際展開や社内の活性化に、外国人は欠かせない」と言い切る。
「これからは海外展開が重要です。頑張って下さい」。愛知県尾張旭市の電子部品会社、MARUWAのマニマラン・アントニ(41)は九五年に入社した時、社長の神戸誠にこう告げられた。そして現在、取締役としてアジア全域の工場運営を一手に引き受ける。
マレーシア出身。初来日は八七年だった。前首相のマハティールが提唱した「ルックイースト(東方)政策」で選抜され豊橋技術科学大学大学院で情報工学を学んだ。
「高品質にこだわり従業員全員で会社を作る日本企業の考え方は、武器になる」とマニマラン。自分の役割はそれを現地に適合する形で導入すること。アジア諸国の国民性なら知り尽くしているとの自負もある。「日本企業の海外展開が進むほど、外国人幹部の重要性は増していく」
名古屋圏の企業では工場労働者など多数の外国人が働くが、起業や幹部への登用は緒に就いたばかり。だが企業が外国人の優秀な経営者を血眼になって探す日は近いかもしれない。
2007/07/19, 日本経済新聞
システム開発のデジック(札幌市、中村真規社長)は海外からのIT(情報技術)技術者の採用を増やす。今年度中に日本で働くロシア人技術者を倍増するほか、韓国人学生の獲得にも乗り出す。優秀な海外人材を確保し、首都圏からの開発受託や独自のシステム開発事業を拡大する。
業務提携しているロシアのソフト開発会社ロンダ(ウラジオストク市)からの技術者受け入れを拡大する。現在、デジックとロンダの合弁会社(札幌市)を通じてロシア人技術者三人を東京の半導体装置メーカーに派遣している。派遣先からの技術評価が高く、今年度中に七、八人に増員する。
また、八月二十日から韓国の済州島で開かれる日本企業と韓国人学生のマッチング会に参加する。済州島内の五つの大学の学生や卒業生を対象に企業説明会を実施する。ITや日本語を専攻した韓国人学生を今年度内に二、三人採用する方針だ。
2007/07/21, 日本経済新聞
七割近いビジネスパーソンが、「国際化の波」を実感――。
日本で英語能力測定テスト、TOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(東京・千代田)がこんな調査結果をまとめた。海外企業の日本への参入といった経済関連や、外交関連のニュースを目にしたときなどに実感する場合が多いという。
「非常に実感する」が一八・五%で、「やや実感する」の四九%と合わせると、六七・五%の人が国際化の波が押し寄せているのを感じると回答。どんな場面で実感するかについても聞いたところ、「日系企業の海外進出や外資参入など経済ニュースなどを目にするとき」が四七・八%、「街中で外国人を見かけるとき」が四一・一%で続いた。
調査は七月十―十二日、インターネット上でアンケートを実施。全国の二十―三十歳代の男女二百人ずつの計四百人から回答を得た。
2007/07/25, 日経産業新聞,
雇用延長や「一芸枠」導入」
買い物客がカゴから一つ一つ商品を手に取り、バーコードを読み取り機にかざして支払いを済ませていく――。ホームセンター大手のカインズ(群馬県高崎市)は今年、セルフレジの導入を業界で初めて本格的に始めた。通常は一台に一人必要なレジ係が四台に一―二人の配置とした。群馬や栃木、静岡などの十七店舗に導入しており、来年二月までに二十一店舗に広げる計画だ。
人手不足に悩む企業は対策に躍起だ。最も一般的なのが定年後の雇用延長。流通業や製造業ではパート・派遣社員の正社員雇用も目を引く。
初任給引き上げ
過去二年で五十人前後の派遣社員を正社員化した東京特殊硝子藤岡工場(群馬県藤岡市)は「派遣会社に正社員雇用を約束すると優先的な派遣を受けられる」と利点を語る。外食チェーンの元気寿司や書店のうさぎや(栃木県さくら市)などは、パート社員を正社員とした上で店長に登用している。
金融機関で目立つのが初任給の引き上げだ。足利小山信用金庫(栃木県足利市)が四月に一万円引き上げたほか、桐生信用金庫(群馬県桐生市)も十年ぶりに六千円引き上げた。初任給は県内金融機関で最高水準となり、今春の新卒採用では学生のエントリー数が二割以上増えたという。
海外採用に積極的なのはソフトなどの設計開発業。ケーシーエスデータワークス(水戸市)は瀋陽や大連で中国人技術者二十人を採用、ユー・ドム(同)も今春採用の十四人のうち二人をフィリピンで採用した。韓国や中国などを含め海外で九人の採用実績があり、「レベルを落として国内で数をそろえるよりはいい」と森明彦社長は意義を強調する。
官民連携で面接
群馬県太田市は四月、求職者の職歴や自己PRをホームページに掲載し、企業が指名して面接する「就職ドラフト制度」を開始。五件の成約があった。
「つくばインターンシップ・コンソーシアム」を設立した筑波大学から四人の学生を受け入れたのは、流体計測機器のツクバリカセイキ(つくば市)。基礎的な実験方法から会計の仕組みまでを教え、将来の入社に期待をかける。
企業の人集めを後方支援する自治体や大学だが、自らも人手不足の波と無縁ではない。足利市では行政職の受験者が三年間で三割減。新たに「スポーツ採用枠」を用意して人材掘り起こしを狙う。水戸市も志望者減をにらみ、企業の総合職にあたる上級事務職の受験資格を二十八歳から三十歳に引き上げた。
市町村の採用拡大の動きを「無理に枠を広げても、優秀な人材が集まるわけではない」と、ある茨城県幹部は冷ややかに見つめる。「『粗製乱造』になれば行政サービスの質が低下し、本末転倒になる」
この言葉はそのまま企業にも当てはまる。安易な採用拡大やコストの投下は体力をそぐ危険性もはらんでいる。
スーパーのカスミは六月、茨城県守谷市の新店で約二十年ぶりに「縁故採用」を実施した。社員らの紹介でアルバイト希望者が面接を受けると紹介者に五千円を、一カ月間働き通すと一万円を支払う仕組み。六人が採用された。
宇都宮市は五月、職員採用試験に全国でも珍しい「自己アピール採用」を採り入れた。スポーツや芸術に秀でた人材に筆記試験を免除する内容。定員五人の枠に対し、応募者数は百二十人に達した。
人手不足の問題解決には、既成概念にとらわれない自由な発想も求められる。人が集まらない組織には未来はない。組織の個性に合った柔軟な対策と創意工夫が試されている。
2007/08/02, 日本経済新聞
ロイヤルパークホテルズ&リゾーツ(東京・千代田)は今秋にも韓国から研修生を受け入れる。人材獲得が厳しくなる中、将来の外国人採用の下地をつくるのが狙い。まずは都内二ホテルに一年契約で数人を配置する。外資系ホテルでは外国人雇用が当たり前になっているが、日本資本のシティホテルで外国人研修生を受け入れる例は珍しいという。
受け入れるのはロイヤルパークホテル(東京・中央)とロイヤルパーク汐留タワー(東京・港)。韓国の大手旅行会社「グローバルツアー」の関連会社が研修生を募集した。週五日、宿泊部や料飲部で勤務する。
一日の実働は七・五時間。月収は手取りで十二万円だが、食事や定期券などを提供する。二十―三十歳で日本語か英語が話せることや、短大または大学卒業を条件に、ワーキングホリデービザで入国する。
ロイヤルパークホテルは、香港のシャングリ・ラホテルズ&リゾーツと定期的に人事交流しているが、研修生という形で一方的に外国人を受け入れるのは初めて。
景気回復で企業の採用活動が活発化する中、日本のホテルは新規参入等で人材獲得が特に難しくなっている。「ビザの問題などはあるが、今後は労働力を海外に求める必要が出てくる」(中村裕ロイヤルパークホテル会長)。
ロイヤルパークは研修生を通じて、将来の外国人従業員採用に備えたい考えだ。
韓国では外国人旅行客数が急速に伸びており、良質のホテル社員が不足しているといわれている。米国や日本のホテルで研修を受けたいと願う若者も増えており、外国人採用を探っているロイヤルパークと韓国側の思惑が一致した。
日本は「ビジット・ジャパン・キャンペーン」と称して、二〇一〇年までに訪日外国人の数を年間一千万人にする目標を立てている。実現すればホテルの外国人客比率も上がることが予想される。外国人研修生受け入れは、国際化に対応する狙いもあると見られる。
2007/10/23, 日経産業新聞
会社更生法の適用を申請した英会話学校NOVAの外国人講師らが加盟する労働組合メンバーが二十六日、厚生労働省で記者会見した。
講師やスタッフには九月以降の給与が支払われていないといい、「生活費が枯渇している。次の仕事が決まるあてもない」と窮状を訴えた。
東京都内にある教室で英語を教えるロバート・テンシーさんは「光熱費や食費も払えず、どうしたらいいのか。こうした講師が全国に大勢いる。今すぐ対策が必要だ」と強調。
講師のサム・ゴールデンさんも「預金残高が底をついた。米国に帰ろうにも、飛行機代すら払えない」と話した。
2007/10/27, 日本経済新聞
中古車買い取り、販売大手のガリバーインターナショナルは日本に留学する中国人やインド人を中心に外国人の新卒採用を拡大する。二〇〇七年は約五人を採用したが、〇九年四月入社の新卒採用では二十―三十人に拡大する計画だ。中国やインドへの進出を計画しており、海外で店舗運営のスタッフなどとして働く人材に育てる。
日本の大学の正規課程で学ぶ外国人学生を中心に採用する。入社から約三年間は日本人社員と同じように日本の店舗で働き、接客や自動車の買い取り、販売の仕方を身につける。その後海外の拠点に派遣し、店舗のスタッフとして現地の顧客に対応させるほか、現地採用した人材の教育などに当たらせる。
ガリバーは〇八年に中国とインドへ進出する計画を立てている。中国では事業開始後すぐに三十店舗を立ち上げる予定で、インドも進出から二年間で十―二十店舗の出店を検討している。主要都市に複数の店舗を設置して知名度を高める方針で、そのためには現地の言葉を話し、ガリバーのノウハウを伝えられる人材の確保が急務となっている。
ガリバーは現在、人件費抑制のため採用人数を抑えている。〇七年度の新卒入社は九十七人だったのに対し、〇八年度入社予定の内定者は六十一人で、外国人はゼロだった。
〇九年以降の採用計画に関しては「未定」(広報)としているが、海外事業の拡大に加え国内でも直営店舗数を現在の二百九十五店から将来的に三百五十店に引き上げる計画で、外国人採用とともに全体の新卒採用も拡大する可能性が高い。
2007/10/30, 日経産業新聞
ビジネスホテル運営の湘南レーベル(神奈川県藤沢市、島田雅光社長)は、主に外国人を顧客とするビジネスホテルのチェーン展開を始めた。現在、同県厚木市で運営するホテルに加え、年末には湘南地区で建設する予定だ。向こう一年でさらに一―二棟を建て「RIGNA(リグナ)」ブランドとして広げる。
約半年前に私鉄小田急線の本厚木駅から徒歩二分ほどの場所に開設した「リグナ厚木」が、好評のためチェーン化に踏み切る。一階に二十人近くが座れるレストラン・バーを配置したところ、仕事を終えた外国人宿泊客がだんらんを目的に口コミで集まった。
現在「宿泊客の五割」(島田社長)が外国人。周辺に大手自動車メーカーの研究開発拠点があるため、長期出張で来日している人が多いことが奏功した。
日本人はホテルにチェックインすると自室で過ごす人が多いが「外国人は、アフターファイブをにぎやかに過ごす人が多い」(同)という。宿泊料は一泊六千円程度。稼働率は九割近い。
年末に予定している湘南地区も大手電機メーカーの拠点があり「外国人の出張者が多い」(同)と見る。軌道に乗れば、東京や千葉など関東全域に対象を広げたい考え。
湘南レーベルは、建物面積二百平方メートル前後(客室数は五十程度)のそれほど広くない土地の開発を得意としている。一棟の投資額は三億円程度に抑えられるとみられ、小回りの利く経営を武器に大手のビジネスホテルチェーンに対抗する。
2007/11/07, 日経産業新聞
人材紹介大手のリクルートエージェント(東京・千代田)はフィリピン人の技術者を日本で紹介する事業を始めた。在日外国人向けの通信事業を手掛けるアイ・ピー・エス(IPS、東京・中央)と組み、フィリピンのテレビ番組を放映するなど日本定着を支援する仕組みを導入した。企業が持つ早期離職への懸念を減らし、外国人技術者の紹介を拡大する。
リクルートエージェントはフィリピンの人材会社、トランスパシフィックマンパワー(TPM)社と提携。TPM社に登録する技術者で日本での就業希望者を企業に紹介する。給与水準は年収四百万―六百万円が中心になる見込み。予定年収の三五%の紹介手数料をTPM社と折半する。
両社はIPSに福利厚生業務を委託。IPSは就労ビザの取得や住宅あっせんなど渡航を支援するほか、インターネット上でフィリピンのテレビ番組を放映したり、技術者が参加できる合同イベントを開催したりして、日本での生活を後押しする。三社はすでにマニラ市内に日本語学校を開設し、フィリピン人技術者に無料講座を提供している。
リクルートエージェントは同様の仕組みをソフト系技術者が多いインドやベトナムなどに広げていく考え。
2007/11/14, 日経産業新聞
日本に入国する外国人に指紋採取と顔画像の提供を義務付ける改正出入国管理・難民認定法が二十日に施行されるのを前に、法務省入国管理局は十三日、指紋をスキャナーで読み取り、顔写真を撮影する個人識別の新システムを成田空港で公開した。改正法はテロリストらが偽造旅券を使って入国するのを水際で防ぐのが主な狙い。
新システムは二十日から全国二十七空港と百二十六の港で運用が始まる。対象は特別永住者や外交官、国の招待者を除く十六歳以上の外国人で、拒むと入国できない。
識別した情報は過去の強制退去者や国際刑事警察機構の指名手配者リストなどとその場で照合される。その後、データベース化して保存、捜査機関から捜査照会があれば提供される。日本弁護士連合会や人権団体は保存期間があいまいな点などを批判している。
2007/11/14, 日本経済新聞
郷土料理店などを展開するエイチワイシステム(東京・港、安田久社長)は十七日、タレントや愛知県の酒販業者と共同で外国人向けの日本酒試飲会を開く。外国人の日本酒需要を掘り起こし、ファンのすそ野を広げる狙い。
東京・銀座で同社が運営する秋田料理店「なまはげ銀座店」を会場に、日本酒約十種類と料理十五種類前後を提供。百人弱の集客を見込む。会費は六千円だが、売り上げの一部をフィリピンの子どもたちへの教育支援事業などに回す。
今回は一日限定だが、好評であれば今後も同種のイベントを実施する方針だ。
2007/11/16, 日経MJ(流通新聞)
ローソン 来春、中国・ベトナム人
ファミリーマート 新たに韓国人ら6人
コンビニエンスストア大手が外国人正社員の定期採用を積極化している。ローソンは来年四月に初めて中国人とベトナム人を採用する。ファミリーマートも中国人などの採用を増やす。少子高齢化や人手不足を背景にコンビニでは外国人パートやアルバイトが増えており、指導役などに活用したい考え。
ローソンは来年四月に入社する社員として、中国人九人とベトナム人一人の計十人を採用した。定期採用の新入社員のうち約一割に当たる。二〇〇九年四月入社分では採用数の約三割に当たる三十人を採用する計画。
同社は少子高齢化に対応して外国人労働力の活用を増やすため、今秋、中国人アルバイトのために店舗での作業マニュアルを作成した。外国人の来店客も増えている。日本人以外のパート・アルバイトのいる店舗の指導には、外国人を正社員として定期採用する必要があると判断した。将来の海外出店に備える狙いもある。
ファミリーマートも〇七年春入社分から外国人の本格採用を始めた。中国人三人と台湾人一人の外国人四人を採用した。〇八年春は中国人と韓国人など合わせて六人を雇用する。主に台湾や中国など海外店舗に関する業務を担ってもらう。
ミニストップも〇八年春、外国人二人を雇用する。〇七年春入社分として三人を採用するなど本格採用を始めている。
2007/11/17, 日本経済新聞
日本で生活している外国人向けのビジネスが広がりつつある。従来は日本人向けと区別せずに展開されることが多かったが、今後の外国人増加をにらみ新市場と位置付けてサービスを提供する動きが相次いでいる。
情報提供に知恵絞る
▼高島屋新宿店は十月下旬、日本に住む外国人顧客を対象としたポイントカードの発行を始めた。
英語、中国語、韓国語表示のサイト上で告知を開始。店内でも通訳スタッフが加入を勧めている。加入件数は半月で数十件とまずまずの滑り出しだ。従来はクレジット機能付きカードへの加入を促してきたが、現金で買い物をする人も多く加入は多くなかった。その結果、購買動向などを把握しきれていなかった。
一ポイント=一円の交換率で買物券と引き換えられ、還元率は二%から年間購入金額が大きいほど高くなる。こうしたサービス内容は現在、日本人向けと同じだが、岩崎剛担当課長は「外国人顧客を組織化し、外国語での販促活動や外国人ならではの消費傾向の分析を始めたい」と話す。
インターネット上の質問回答サイトを運営するオウケイウェイヴは在日外国人向けの生活情報サイト「OKワールド」を今年七月に開いた。日本語のほかに英語や中国語、韓国語で開設。既存サイトと同様に、「(フィリピンの)タガログ語でミサを催す教会はどこにあるか」など利用者が書き込んだ質問に別の利用者が回答、情報交換ができる。担当の竹村太郎氏は「外国人向けの広告掲載場所を求めている企業もあり、将来性に期待している」と話す。
パソナ子会社のパソナグローバル(東京・千代田)は今月中旬、日本で働く外国人や日本で学ぶ留学生向け就職・転職セミナーを東京都内と大阪府内で開いた。これまでは中国やシンガポールなどにある日本企業の現地法人の求人情報を紹介してきたが、今回は初めて日本での就職情報を提供した。技術者のほか渉外法務など専門的な業務ができる外国人を国内で採用したい企業は急増している。「キャリアの一環として日本で働きたいと考える外国人も増えている」(畑伴子社長)
米ゼネラル・エレクトリック系の個人向け金融会社、GEコンシューマー・ファイナンス(東京・港)は昨年三月、外国人向け住宅ローンを始めた。英米系やアジア系の人から引き合いがあるという。永住許可を受けている外国人のみを対象とする金融機関が多いが、同社は海外グループ会社と連携し顧客の母国での返済実績などの信用情報も参照し永住許可を受けていない人にも融資する。超低金利が続く日本では住宅ローンの金利も低い。資産価値の点からも持ち家に住みたいと考える外国人が増えているという。
市場開拓余地大きい
▼法務省入国管理局によると二〇〇六年末時点の外国人登録者数は二百八万人で十年前に比べて約五割増えた。同期間の総人口が一・五%しか増えていないのに比べると伸び率は大きい。
このうち永住者は約八十四万人と三割増加。非永住者だが専門的な技術や知識を生かして日本で働く在留資格を持つ人は九万二千人と二・四倍に増えた。近年では情報技術(IT)関連の業界に勤める外国人が増えている。全体ででは中国人の増加が目立つ。今後の外国人の受け入れ方針に関しては政府内でも意見がわかれているが、人口減社会の到来で労働力人口の減少が迫るなか外国人労働者に頼らざるを得ないという見方もあり、増加傾向は続きそうだ。
外国人向けのビジネスは口コミが最大の広告媒体で、外国人が多く住む地域に密着したものが大半だった。だが人口の増加や居住地域の多様化などに伴い、従来の方法では需要喚起は困難。このため、外国人向けビジネスを手掛けてきた企業が新しい工夫を凝らす動きも活発化している。
外国人向け通信のアイ・ピー・エス(東京・中央、宮下幸治社長)は在日フィリピン人向け求人広告を昨年七月に始めた。月二回発行の情報紙に約六十社が広告を載せる。業種はメーカーのほか家事代行やクリーニング業など。「企業は従来の口コミだけでは得られない、より優秀な人材を求めて広告を出し始めている」(前田知之取締役)
在日ブラジル人向け携帯電話サービスを手掛けてきたインフォニックス(名古屋市、浅野浩志社長)は、今月新たに欧米やアジア地域への国際電話料金を月三十時間を上限に定額で提供するサービスを始めた。欧米やアジア地域から来日した外国人を取り込む狙いだ。支払いをクレジットカードに限るなど契約に一定条件を設けているが「携帯各社の定額通話サービスを知った外国人が国際電話でも同様のサービスを求め始めている」(藤田聡敏常務)。
◇ ◇
外国人向け市場の開拓余地は大きいとみられるが、大和総研新規産業調査部の桜岡崇主任研究員は「外国人に生活や住宅、就職に関する情報を体系的に提供する場は不足気味。情報やサービスをネット上のサイトや店舗で一括して提供できれば、利用者も増え、さらに多様なサービスが集まる効果が期待できる」と指摘している。
2007/11/19, 日本経済新聞
厚生労働省の推計によると、日本の二〇三〇年時点の労働力人口は現在の約六千七百万人から一千万人以上も減る。経済活力を維持しつつ、高齢者の看護や介護に必要な人材を確保するには、外国人労働力の活用は不可避だ。経済連携協定(EPA)を踏まえた今回の枠組みは、こうした外国人に日本定住への道を開くのが特長。受け入れ側となる日本は文化、宗教などへの理解を深めることが必要となる。
インドネシア人の八七%はイスラム教徒。現地に進出した日本企業の工場などには、礼拝のための部屋を設けるのが一般的だ。EPAで入国してくる看護師らも当然、大半がイスラム教徒である可能性が高い。
ところが、インドネシア人を研修・技能実習生として受け入れている一部の工場では、礼拝を禁じる誓約書への署名を強要する行為が問題化している。
厚労省は礼拝やラマダン(断食月)などを禁じるような病院や介護施設は受け入れ先から除外する方針。EPAで労働力だけを都合良く受け入れて、宗教などへの配慮を怠れば、国際問題に発展しかねないためだ。
法務省などの推計によると、日本で働く外国人は約七十五万人。うち専門的・技術的分野で正規に入国したのは十八万人にすぎない。残りは留学生のアルバイトや研修・技能実習生などで、いわば「裏口」から単純労働者を取り込んでいる格好だ。
インドネシア人看護師・介護福祉士の受け入れは、日本が宗教や習慣などの違いと共存し、「表玄関」から外国人労働力を取り込むことができるかの試金石となる。
働き手も受け入れ側も、国の枠を越えて互いを求め合う傾向は世界的に強まっている。
フィリピンでEPAの承認が難航している理由の一つに、日本が自国の国家資格取得を義務付けたことへの反発があるが、フィリピン人の看護師や介護士は世界的に人気が高く、すでに各国で受け入れられている。
将来、日本の労働力不足が深刻化し、本格的に海外に求めようとしても、確保が困難になる恐れもある。国際的な「人材獲得競争」で後じんを拝することがないよう、門戸開放への決意と備えを問われる時が目前に来ている。
2007/12/22,日本経済新聞