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  2. 雇用契約の締結
  3. 雇用契約書の作成

外国人雇用の基礎知識

1.外国人雇用における雇用契約書の役割

1.雇用契約書(労働条件通知書)の意義

 雇用契約は募集企業と求職者が交わす契約のひとつで、求職者の申込みと募集企業の承諾の合意があれば成立します。雇用契約書を交わしてはじめて効力を有するものではありません。

 雇用契約にまつわる労働条件は非常に多岐にわたります。外国人との雇用契約では 日本人の常識や商慣習の違いから“誤解”を招きやすいため、雇用契約書や労働条件通知書などの作成は非常に重要です。

2.外国人社員と契約

 近年の雇用形態は多様化しており、企業側が成果主義による年俸制や目標管理などの人事制度を導入する企業が多くあります。また外国人社員も増加傾向にあり、国籍も多様化しています。

 一般的に「日本人は契約への意識が低く、外国人は契約意識が高い」と評される傾向にあります。多様化している外国人社員すべてとはいえませんが、就労ビザを取得する外国人は、“高度人材”と呼ばれる専門知識や技術を有する外国人です。信頼関係を損なわないためにも、口頭で安易な約束をするべきではありません。

3.安心と信頼

 外国人からすると日本は当然に“外国人からみる外国”であるため、日本で就業することに不安を抱いています。そうした不安を払拭することができるものが“約束”であり、すなわち契約です。

 日本人と交わす労働条件よりも、さらに詳細に記した雇用契約書や労働条件通知書などを用意すれば、不安を抱いている外国人に大きな安心感を与えることができます。そうした対応は信頼関係の礎となり、モチベーションアップにもつながります。

4.リスク回避

 労働条件を記載している雇用契約書や労働条件通知書は、募集企業と応募者双方の“権利”と“義務”を書面で明確にしています。労働法にも労働条件の明示や一定項目の書面による交付が定められています。

 雇用契約は一般的な契約と比べ契約期間が長期となります。未払い賃金、情報漏洩、ハラスメント、競業避止などの想定されるリスクを回避するためにも、“権利・義務”関係を含めた労働条件を書面にする必要があります。

2.外国人のための雇用契約書

1.契約の錯誤(勘違い)

 契約は“意思表示”を重要な要素とする法律行為の1つです。雇用契約も契約の1つですので、当事者である企業側と外国人の意思表示の合致により成立します。しかし常に有効に成立するとは限りません。

 雇用契約が有効に成立するためには、外国人が「その労働条件で労務を提供します。」の“その労働条件”の理解に錯誤(勘違い)がないことが必要です。

外国人雇用における契約錯誤

2.母国語の労働条件通知書

 外国人が労働条件の内容に勘違いしていた場合、雇用契約が無効となってしまうこともあります。せっかく優秀な外国人を採用してもそのような事態になってしまっては、企業にも外国人にも何らメリットはなく、絶対に避けなければなりません。

 母国語の労働条件通知書などを用意し、契約内容が外国人に理解できる状態に整えなければなりません。外国人本人が日本語を理解している場合であっても「わたしは労働条件の契約内容を十分に理解して契約しました。」といった文言を追記しておくようにします。

3.雇用契約と就業規則

 雇用契約は契約期間、就業時間、給与や解雇理由を含む退職に関することなどの労働条件を明示しなければなりません。通常、雇用契約では詳細な労働条件は定められておらず、就業規則に規定されています。

 労働契約法に就業規則と労働契約の関係が規定されており、就業規則は労働契約の内容となりますので、外国人が就業規則の存在や内容を“勘違いなく”知り得る状態にしておかなければなりません。

雇用契約と就業規則

4.端的でわかりやすい表現

 締結する雇用契約の労働条件は、勘違いなく理解される状態にしなければなりません。外国人の場合は日本語を理解できるといえども、日本人でも読み返さなければならないような難しい言語や回りくどい表現は避けるべきです。

 特に就業規則の規定の表現は、法律的な表現が多く用いられています。外国人を採用するもしくはすでに雇用しているのであれば、自社の就業規則を「外国人が理解できるか?」という視点でもう一度読み直してみてはいかがでしょうか。

3.ビザ申請と雇用契約書

1.日本人と同等額以上の賃金

 多くの就労ビザには「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」との条件が設けられています。当然、外国人だからという理由で不当に低額な給与で雇用することは許されず、そのような条件や理由ではビザ申請が許可されません。

 同等の職務に従事する日本人社員の給与を基準にしながら、外国人社員の給与額を決定しなければなりません。

2.就労ビザと職務内容

 ビザは日本における活動に制限を受けることになり、就労ビザを取得できたからといってどのような仕事でもよいわけではありません。雇用契約書の職務内容が申請する就労ビザの活動内容に該当していなければ、就労ビザは許可されることはありません。

 就労ビザの申請には一部の大手企業を除き、雇用契約書もしくは労働条件通知書などの労働条件を記載した書類を添付します。その際に実際の職務内容が申請時の雇用契約書などの記載と異なっていたり、ビザ取得のために偏った記載をしたりすると虚偽申請となります。

3.雇用期間と在留期間

 現在の就労ビザの在留期間には、“永住者”を除き、そのすべてに在留期限が設けられています。日本に入国する際のビザまたは在留期限の期間を更新する際のビザは、そのほとんどが1年または3年となっています。

 雇用契約書に記載する雇用期間は、就労ビザの在留期限にも影響を及ぼす可能性がありますが、3年の就労ビザを求めるあまり、実際の雇用期間を超えて雇用契約書を作成すると、外国人社員の退職や解雇、雇止めなどの労働法関連の問題を引き起こすことになりかねません。

4.社会保険への加入促進

 雇用保険や健康保険、厚生年金保険などの労働保険・社会保険諸法令は、各種保険の加入要件に該当するもしくは適用除外とされていなければ、原則として強制的に加入することになります。

 雇用契約書や労働条件通知書などには、雇用保険や健康保険、厚生年金保険の加入状況や適用の有無を明記します。ビザの変更や期間更新の場合、社会保険への加入の促進を図る観点から保険証の提示が求められていますが、保険に未加入などの理由で保険証を提示できない場合であっても、それだけの理由でビザ申請を不許可とすることはしていません。

4.リスク管理のための雇用契約書・誓約書

1.外国人と採用内定

 外国人を採用してビザ申請を行う場合、原則として採用内定通知書や雇用契約書などを添付します。しかし、ビザ申請が不許可となった場合、当然その外国人を雇用することはできません。

 ビザ申請が不許可となった場合、外国人との内定は取消、契約であれば解除ということになります。ビザ申請の不許可と内定取消や契約解除は、法律上の性格が異なります。内定書や契約書に「この通知書(または契約書)は就労可能な在留資格の許可を条件とする。」などの但書きで対応します。

外国人と採用内定

2.外国人の身元保証

 身元保証とは、従業員の行為によって企業へ損害が生じたときには、身元保証人がその損害を賠償する契約です。採用された者が適格性を有することを保証するという側面もあります。

 会社への損害は、一定期間を経過してから明るみになるということは珍しくありません、外国人社員が企業へ多大な損害を与えた場合、企業側がその損害を把握する前に日本を出国することもあります。そのような事態に備えて雇用契約書と一緒に身元保証書を提出させます。

外国人の身元保証

3.企業の秘密保持

 近年、個人情報や企業秘密の漏えいに対する消費者や企業側双方の意識が高まり、従業員から秘密保持誓約書などを提出してもらうことが多くなっています。従業員が秘密保持の義務を負うことは、労働契約の性質上、付随している義務ということもできます。

 誓約書などで明文化して外国人社員にもその自覚をしてもらい、退職後についても在職中に知り得た企業の秘密漏えいの回避を促すことができます。

4.退職後の競業避止

 従業員が業務遂行上に知り得た専門的・技術的な情報や開発情報は、企業の貴重な財産です。競業避止義務とは、これらの情報を有している従業員が退職後に競業会社や独立開業などをしない義務のことです。

 外国人社員の場合、専門的・技術的に高度な人材であります。特に重要な企業秘密に接する外国人社員に対しては、契約書に特約を付したり個別に誓約書の提出を求めたりして同意を得ることが重要です。

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