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  2. 外国人雇用と労務管理
  3. 就業規則の必要性

外国人雇用の基礎知識

1.外国人を雇用する際の就業規則

1.就業規則の性格

 就業規則は本来、企業内の就業上のルールを定めるものであり、企業側が一方的にその内容を決定し従業員に遵守を求めるものです。しかし、労働基準法が労働時間や賃金といった労働条件の記載を就業規則に求め、労働契約法は就業規則と労働契約の関係を規定しています。  

 外国人雇用においても日本人雇用と同様に、就業規則は労働契約の内容となるものであり、企業における最低労働条件を規定する性格となっています。

2.就業規則の作成義務

 労働基準法により、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成しなければならないとされています。これは外国人を雇用した場合も同様です。

 外国人社員がいる場合、日本語で作成するかもしくはその外国人の母国語で作成するかまでは規定されていませんが、いずれにしても労働条件となる就業規則が外国人にも理解される必要性はあります。

3.就業規則と社員教育

 就業規則は労働基準法により、書面で交付したり事業所内に備え付けたり、またはパソコンで閲覧できたりするようにして従業員に周知させることを規定しています。

 就業規則により労働条件を明確にし、企業と外国人社員がこれらを遵守することにより信頼関係を築いていくためには、就業規則について外国人社員へ内容を十分説明して教育することが重要になります。

4.高度専門人材に対応する就業規則

 高度専門人材である外国人を採用する場合、ビザ取得との関係で従事する業務が限られてきます。そのため、従来の日本人社員だけの就業規則では対応できない場合があります。

 外国人とは個別の具体的職務が労働契約の内容となるため、配置転換や職務変更など一律に労働条件を規定する就業規則になじまない場合がありますので、必要によっては就業規則を変更することになります。

2.就業規則の記載事項

1.記載事項の区分と外国人への配慮

 就業規則への記載事項は、労働基準法によって必ず記載しなければならない“絶対的必要記載事項”、定めをする場合に記載しなければならない“相対的必要記載事項”および記載するか否かは自由である“任意的記載事項”に区分できます。

 就業規則を作成もしくは変更する際にもっとも重要なことは、就業規則に記載した事項は労働契約の内容となることです。外国人社員に対しても合理的な就業規則となるように十分配慮しなければなりません。

2.絶対的必要記載事項

  労働基準法は、就業規則に記載すべき事項である次の“絶対的必要記載事項”を列挙しています。退職に関する事項については“解雇の事由を含む”とされていますので、どういった場合に企業が解雇するのかを詳細に定めておく必要があります。
絶対的必要記載事項

3.相対的必要記載事項

 “相対的必要記載事項”とは、定めをする場合、すなわち制度として実施する場合には記載しなければなりません。労働基準法に記載されている事項としては、代表的なものとして次のような事項が列挙されています。

 “制裁の定めをする場合においては、その種類・程度に関する事項”とありますので、外国人社員が異文化の日本企業でどういった場合に制裁があるのか、確認しておくことが重要です。

相対的必要記載事項

4.信頼関係を築くための“任意的記載事項”

 “任意的記載事項” は、企業が就業規則に記載するか否かは自由に決定できます。ただし、記載できる項目は“合理的”であることが必要であり、差別的な項目などは記載できません。

 高度外国人材は、「企業の経営理念に共感できるか」を重要視する傾向があります。企業理念や求める人材像など就業規則の任意的記載事項として記載し、就業規則をフル活用して外国人社員と信頼関係を築いていくツールとします。

3.外国人社員も過半数代表者になれる

1.過半数代表者の意見聴取

 就業規則の作成もしくは変更にあたっては、外国人社員を含む過半数代表者の意見を聴かなければなりません。就業規則を届出る際には、これらの意見を書面にして添付しなければならないためです。

 意見聴取の目的は、従業員側に一定範囲の発言の機会を付与し、かつ内容を確認させることにあります。なお、意見は聴くだけであり同意までを求めているものではありません。

2. 過半数代表者になれる者

 過半数代表者とは、「過半数労働組合がある場合にはその労働組合」、「過半数労働組合がない場合は過半数労働者の代表者」です。

 過半数代表者には労働基準法で規定する“管理監督者”はなることはできませんが、使用者となる企業側の意向がなく民主的な手続きにより選出されたのであれば、外国人社員も過半数代表者になることができます。

3. 過半数代表者の選出方法

 適切な過半数代表者といえるためには、従業員の過半数がその代表者の選任を支持しているという事実が重要です。そのため、その選出方法は民主的に行わなければなりません。

 選出方法には立候補者を選び、信任「○」不信任「×」といったような投票・選挙などがあります。外国人社員が過半数代表者となった場合、本人の責任感を促し就業規則への関心を高めることにもつながります。

4.意見聴取の方法

 「意見を聴く」とは、“諮問”するとの意味です。「同意を得る」ことや「協議する」といったことまでを求めているものではありません。もし“意見書”の内容が就業規則の内容に反対するものであっても、就業規則の効力に影響はありません。しかし、意見を陳述する機会を与えるために時間的な余裕が必要です。

 外国人社員には、「意見を聴く」ということの意味を理解させることが少々難題です。理解を得られない場合は、専門家などの第3者から説明してもらうことも有効です。

4.就業規則の周知

1.トラブルを避けるための周知

 就業規則を作成した場合、書面で交付したり事業所内に備え付けたり、またはパソコンで閲覧できたりするようにして従業員に周知させなければいけません。就業規則を変更した場合も同様です。

 就業規則を周知することは、外国人社員に後から「そんなルールは知らない」「そのようなことは契約にはない」とトラブルを招かないために重要です。

2. 周知の方法

 就業規則の周知の方法は、掲示、備付け、書面の交付または電子的データの閲覧に大別できます。いずれにしても従業員が必要なときに容易に確認できる状態にあることが“周知”の要件になります。

 外国人コミュニティなどへ規定内容を確認したいために、ときとして社外へ持ち出したいという申し出があったりします。しかし、就業規則は企業の機密文書になりますので、公にする必要はありません。

就業規則の周知の方法

3.就業規則を知らない場合

 就業規則は使用者たる企業側が一方的に規定するものですが、労働基準法上、その作成および届出に従業員の同意を求めていません。もし、労働契約に残業について明記されていない場合、外国人社員が残業を拒むことが考えられます。

 外国人社員が「契約内容にはない」という理由で残業を拒んだとしても、就業規則に規定されており、その内容が合理的なものである限り労働契約とすることができます。すなわち、残業をさせることができるわけですが、外国人社員との信頼関係を築くうえからも、こうした状況は避けるべきです。

4.就業規則による不利益変更

 労働契約の効力は、当事者の合意が原則であり、その内容を変更する場合も同様です。外国人社員との契約内容を不利益に変更したい場合、原則として本人から同意を得ることになりますが、通常、不利益な内容を簡単には同意してくれません。

 同意を得られない場合、就業規則を変更することにより労働条件を変更することができますが、変更にかかる合理性や必要性などが必要となるのと同時に、ビザ取得時とビザ更新時の労働条件に相違があった場合、入国管理局からも説明を求められることがあります。

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