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  3. ガイダンスの必要性

外国人雇用の基礎知識

1.日本の雇用社会の歴史と理解

1.相互理解とリスペクト

  日本の高度経済成長を支えてきた雇用社会の慣行は独自の文化があり、日本企業に勤める外国人にもその文化を理解させることが必要です。理解があれば日本企業に勤める外国人が抱く「昇進が遅い」「労働時間が長い」「リーダーシップに欠ける」などのストレスが解消されることが期待できます。
終身雇用制度と長時間労働

 日本人社員は高度人材である外国人社員を、外国人社員は日本雇用社会をお互いに理解してリスペクトすることが重要です。

2.年功人事下における昇進

 日本は第2次世界大戦の敗戦後、日本国憲法の“生存権”や“国の社会的使命”、“勤労の義務”により、労働者は労働によって賃金を得て家族を養い生活していくことを基本としています。

 “雇用を守り生活できる賃金”は、その決定方法も長期雇用の枠組みの中で決定されればよく、企業は新卒者を一括採用して教育し、人事異動などでキャリアを積み、仕事も賃金も勤続によって上昇していく年功人事が定着しました。最低限の生活保障の生活主義や勤続によって能力は上がる職能主義は、外国人社員からすると「昇進が遅い」と映ってしまいます。

3.終身雇用制度と長時間労働

 国民すべてが賃金を得て家族を養うためには、完全たる雇用政策が必要です。憲法の保障のもとに終身雇用制度は生まれ、さらに判例の積み重ねにより企業はいったん採用した労働者は解雇することが困難という慣行が確立されました。

 日本人は終身雇用制度で雇用を守ってもらう代わりに、長時間労働でも文句を言わずに会社に尽くしてきました。「一生懸命に長時間働いて会社に忠誠心を示す」ことが高度経済成長における日本人の働き方でした。

終身雇用制度と長時間労働

4.思いやりの精神

 日本は歴史的に「義を重んじて正しい行いをし、自分のことばかり主張せず相手を思いやる」といった武士道精神が確立しており、現在では広く海外でも知られるようになっています。

 強いリーダーシップは海外でのビジネスシーンにおいて必須スキルであり、リーダーシップを学んできた外国人からすると、日本人の「思いやりの精神」は、単に優柔不断や社内決定のコンセンサスが遅いという印象になりかねません。しかし、外国人社員も日本人の「思いやりの精神」への理解が必要です。

2.生活面でのサポート

1.外国人であること

 外国人社員は日本での生活が不慣れであることがほとんどです。外国人から見れば当然に日本は外国であり、居住する日本の出入国管理行政や健康保険や年金、税金関連がどうなっているか知らないことがほとんどです。

 日本国籍を有しない外国人の場合は、入管法上、日本の利益や公共の安全・秩序にとって有害などと認められるときは退去強制されることもあります。

2.医療保険制度と年金制度

  医療保険制度は、国籍にかかわらずに会社勤務している者は“健康保険”に、その他の者は“国民健康保険”の公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」がとられています。

 年金制度も同様に、会社勤務の者は“厚生年金保険”に、その他の者は“国民年金”に加入する「国民皆年金制度」がとられています。

医療保険制度と年金制度

3.外国人社員の所得税と住民税

  所得税は毎年1月1日から12月31日までの所得(給与などの収入金額から必要経費を差し引いた金額)にかかる税金です。外国人社員は給料から所得税が控除されますので、会社が本人にかわって納付します。

 住民税は1月1日現在、居住している地域の市区町村によって課税されますが、前年の所得をもとに計算されますので入国した年に住民税の納付はありません。

3.労働契約と権利義務関係

1.日本の法律を適用する属地主義

 日本の法律は属地主義が原則であり、日本国内で生活する者は日本人と外国人を問わずに、日本の領域内にある限りおいては一部の例外(外国の外交使節等の治外法権など)を除いて、すべて日本の法律の適用を受けます。

 属地主義では日本の司法や行政などの権限を行使することが認められており、また、将来に向かって適用するのが原則となっています。

2.労働契約の締結で発生する権利と義務

 従業員たる労働者と企業側の使用者が対等の立場における合意に基づき締結した労働契約は、当事者の間に一定の権利・義務の関係が生じます。

 当事者が契約を遵守すべきことは契約の一般原則であり、権利の行使および義務の履行は信義に従い誠実に行わなければなりません。また、当事者は権利を濫用してはいけません。

労働契約の締結で発生する権利と義務

3.労働契約の基本的な義務

 労働契約の締結により生ずる基本的な従業員の義務は、“使用者の指揮命令に従って誠実に勤務する義務”があります。この勤労の対価として従業員側は、給与の支払いを受ける権利を有することになります。

 従業員は命じられた勤務が完全に遂行できるように、心身の状態を健康に保ち誠実に勤務しなければなりません。

4.労働契約の付随的な義務

 労働契約の基本的な誠実に勤務する義務とともに、企業組織の一員として勤務するうえで当然に遵守すべき付随的な義務として、企業秩序を遵守する義務があります。企業が秩序を維持するためのルールとして、就業規則の服務規律などに規定することが一般的です。

 その他の付随的な義務として、企業の名誉や信用を傷つけないこと、営業秘密を保持する義務などもあり、これらの義務に違反した従業員に対して、懲戒処分も可能です。

労働契約の付随的な義務

4.日本人とのコミュニケーション

1.日本人への理解

 近年は日本に興味を抱いている外国人も多く、またインターネットの情報で日本の文化を知ることも容易になっています。日本に在住する外国人は日本に好意的ですが、日本人の慣習を理解できない場合も少なからずあります。

 日本は地理的に島国であり、また長年の鎖国から外国へ対して排他的といわれます。日本企業で勤務する外国人に対して、民族的特徴のある日本人への理解を深めるための教育を行うことは、外国人の雇用を維持するうえでたいへん意義があります。

2.日本語レベルを求める理由

 多くの日本人は中学校・高校の6年間、または大学進学した者は10年間も英語を勉強しています。しかし、残念ながら英語を流暢に話せる日本人はごくわずかです。

 その理由は英語教育システムや日本語と外国語の文法の違いなどといわれますが、「日本人は英語が苦手」という結論ははっきりしています。多くの日本企業が外国人を採用する際に、外国人の日本語能力に不安を感じています。

日本語レベルを求める理由

3.長時間労働 とワークライフ・バランスへの取り組み

 日本企業の労働時間の長さは先進国の中で突出していましたが、近年は労働時間の短縮がすすんではいます。しかし、それでもまだアメリカ、イギリスと同様の長時間労働の水準となっています。

 世界経済のグローバリゼーションに伴い、近年の労働時間は一向に減少できない状態にありますが、現在、日本企業の多くはワークライフ・バランスの向上に努めています。

ワークライフ・バランスへの取り組み

4.有給休暇の取得率が低い日本

 日本企業の有給休暇の取得率は、過去10年ほど50%を下回っています。すなわち、権利として付与されている有給休暇日数の半分以上は消化していません。

 有給休暇の取得率が上がらない理由には、国際競争力の強化、会社に忠誠を示す日本人雇用社会の特徴などがありますが、外国人社員も有給休暇を取得する際にはそういった日本人社員に配慮する必要があります。

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