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  3. 評価制度の設計・運用

外国人雇用の基礎知識

1.評価制度の定着(マネジメント力の向上)

1.マネジメントとは

 日常会話でもよく使用される「マネジメント」とは、いったい何でしょうか?マネジメントを研究対象としていた経営学者のピーター・ドラッカーによると、マネジメントとは『組織に成果をあげさせるもの』とあります。 

 評価制度はこのマネジメントのツールの1つといえ、外国人社員が企業に成果を上げることを目的とし、企業へ貢献できる制度であるといえます。

2.評価制度の3つのベース

 その評価制度の“ベース”となるものは何でしょうか?評価制度がその企業に定着するためには、枝葉の細かいものではなく木の幹となる、その制度のベースを構築します。そのために次の3つをポイントとしています。
  1. 継続可能な評価制度の運用
  2. 公正で公表できる評価制度
  3. 評価結果の調整機能

3.活躍できる自由な組織風土

 評価制度は単にその制度を構築することが目的ではありません。外国人社員が有する能力・専門性を発揮することができ “自由に活躍できる組織風土”づくりが重要です。

 外国人社員はキャリア志向が強く、チャレンジ精神にあふれていますので、そうした外国人社員の雇用を成功させるには、いかに“成果を公正に評価”できるかが重要なファクターとなります。

 外国人社員の求めているものを理解し活躍できる組織風土が構築されていれば、能力・専門性を発揮できる組織をわざわざ自ら去ることはありません。

4.PDCAサイクル

 外国人社員のマネジメントにおいて、継続的改善である“PDCAサイクル”を体系化することは欠かせません。

 「Check(評価)をAct(改善)へつなぎPlan(企業使命・事業計画)に結び付け、外国人社員のDo(実行)を引き出す」PDCAサイクルを順に実施し、マネジメントサイクルを定着させることが重要です。

 『Plan(企業使命・事業計画)⇒Do(実行)⇒Check(評価)⇒Act(改善)』

2.継続可能な評価制度

1.経営理念

 評価制度を構築するときは、まず企業組織が向かうべき方向性、あるべき企業像を従業員に明確にしなければなりません。経営理念や経営方針などを打ち出すことにより、統一的な価値判断を日本人社員のみならず、外国人社員を含めた全従業員で共有し、ベクトルを一つにする必要があります。

 経営学者のバーナードによれば、組織成立の条件であり存続の前提として次の3つがあるとされ、共通目的となる経営理念は欠かせません。

① 共通目的(組織目的)
② 協働意志(貢献意欲)
③ コミュニケーション

2.理念と制度の一致

 理念(言っていること)と制度(やっていること)が一致していなければならないことは言うまでもありません。

 すべては「顧客・お客様・消費者のために」、従業員も顧客も「なるほど、さすが」と思う理念を持ち、日常のマネジメントで実践し、評価していくことによって外国人社員のモチベーションアップにつながり、さらには評価制度の浸透・定着を図ることができます。

3.シンプル評価制度

 評価制度は、外国人社員を含む従業員の全てに行き渡り(すなわち理解でき)、継続して活用可能な制度であることが重要です。一度活用してそれっきりでは、せっかくの評価制度もなんら意味を持ちません。

 評価制度を導入する際、さまざまな評価視点を取り入れて複雑多岐な制度になりがちです。しかし、外国人社員を実際に評価する管理職にとっては、その制度を説明することは困難です。管理職の負担にならず、また外国人社員の理解を得るためにもシンプルな制度から始めることを考慮する必要があります。

4.管理職の責任

 管理職は、自分の属する上位の部門目標の設定に責任をもって参画しなければならず、自分の仕事の責任だけ果たせばよいというわけではありません(“成果責任”(目標管理))。 外国人社員に対しても「自分に何を求められているか、自らの成果が何によっていかに評価されるか」を理解させる必要があります。

 また、“成果責任”を負っているのと同時にグループのリーダーとしての“管理責任”も負っています(プロセス管理)。そうした管理職の方のためにも目標意義や評価方法を明確化することが重要です。

3.公正で公表できる評価制度

1.外国人社員との“信頼関係”

 評価制度は公正でなければなりません。もちろん外国人社員に対しても同じであることは言うまでもありません。日本で働く多くの外国人社員は「日本人と差別されるのではないか?」「不当な評価をされるのではないか?」といった漠然とした不安を抱えているものです。

 外国人社員を含む従業員のだれにでも公表することができ、納得性の高い制度を構築するには、評価者となる管理職と被評価者となる外国人社員とのあいだに“信頼関係”が必要です。

2.キャリア志向への理解

 外国人社員は自分の能力を伸ばしてより高い成長を望むキャリアプランを抱いている者が多い傾向にあります。結果として自己の能力がどのように評価されるかは非常に重要な関心事といえます。

 年齢、勤続年数や学歴といった身分固有的要件や能力的要件での評価方法だけでは、「自分の成果が正当に評価されていない」と感じてモチベーションを下げる結果を招いてしまう可能性があります。

3. モチベーションが高まるとき

 外国人社員に限らず、従業員は「成果が正当に評価されていると気づいたとき」にモチベーションが高まります。外国人社員は一般的に自分を実際よりも過大評価しているケースがしばしばみられます。

 そうした過大傾向にある外国人社員を公正に評価できるのは、仕事ぶりをもっとも近くで見ている上司です。上司にあたる管理職が外国人社員の公正な評価をすることができます。外国人社員には“公正な評価制度”が何よりも重要です。

4.成果主義の要素

 職能資格制度は、役職による年功序列の資格制度だけではなく、職務遂行能力に基づく能力的要素を加味した評価制度として、現在多くの日本企業に定着しています。

 これに対して欧米系は“職務”や“職種”という概念が明確になっており、それらに対して給与が決定され、職務評価や職種別熟練度を重視する成果主義が多く取り入れられています。

 外国人社員の評価は、職能資格制度に加えて目標管理などの成果主義的要素を取り入れることも検討する必要があります。

4. 評価結果の調整機能

1.1人の上司

 組織の基本は“1人の上司”です。人的組織の強い組織は、“1人の上司”の「命令」「報告」の指揮命令系統が確立されています。自己主張がはっきりとして周囲に認められたいとする傾向が強い外国人社員へは、上司の“リーダーシップ”が必要です。

 管理職の評価結果を変更するなど、経営幹部が管理職のリーダーシップのエネルギーを削ぐような行為をしてはいけません。評価結果を変えるようなことをすると、外国人社員は上司を飛び越え、部長や役員に評価されることを求めます。

2.合理的な調整

 部長や役員の役割は、管理職の評価結果のあくまでも“調整”です。何らかの合理的な調整方法によって、各管理職から上がってきた評価結果を調整します。

 主観や恣意的判断で調整を行うと、評価結果が合理性に乏しいものとなってしまい、外国人社員から「評価に納得がいかない」と詰め寄られたときに納得させる説明ができません。

3.フィードバック

 評価の基準等を明確に示し公正な評価がしっかりと行われ、評価された社員が自分のどこがよかったか、またどのようなことに対して今後努力していけばよいのかなどを把握できるようにフィードバックすることは、継続的に改善していくために欠かせません。

 外国人社員にとっても異文化の日本で業務を遂行するうえで「会社内にどのような印象を与えているか」「自分が会社でどのような役割を担っているか」などについて、客観的な事実を管理職から伝えることは、外国人社員の認識不足や不安解消にたいへん役に立ちます。

4.管理職の適正

 部長や役員からみて、管理職の評価結果が「おかしい」と思うことがあっても決して評価を変更してはいけません。どうしてもおかしいのであれば、それは管理職の適正の問題です

 外国人社員の上司にあたる管理職には、外国人社員との信頼関係を欠かすわけにはいきません。評価結果を変更することは、その信頼関係を揺るがすことになります。

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