1. 外国人雇用.com
  2. 外国人社員の労働・社会保険手続

外国人社員の労働・社会保険手続き

1.外国人との契約関係

1.労災保険と雇用保険

 労働保険は、業務上の災害や通勤途中の災害による傷病等を補償する労災保険と、失業や雇用継続などのために給付金を支給する雇用保険を合わせた呼び方です。保険給付は労災保険と雇用保険で別個に行われていますが、保険料の徴収などについては1つの“労働保険”として取り扱われます。 

 従業員を1人でも雇用していれば労働保険は原則として適用事業所となり、外国人1人だけ雇用した場合でも労働保険は適用されます。

労災保険と雇用保険

2.雇用契約・労働契約

 雇用契約や労働契約は、働く側の者が「企業に使用されること」、企業側がそれに対し「給与を支払うこと」を決めたときに結ぶ契約です。“使用従属関係”といい、請負や委任の関係とは異なります。

 労働保険は国籍を問われませんので、雇用関係にある外国人社員が1人でもいれば労働保険の加入は強制です。なお、アルバイトやパートタイマーなどの名称や、短時間就労者などの雇用形態であっても関係ありません。

3.請負、委任・委託の関係

 請負契約は一方が“仕事を完成”すること、相手方はその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを決定したときに成立します。委任や委託契約は、一方が法律行為を相手に委託し、相手方がこれを承諾したときに成立します。

 請負や委任は雇用契約と類似していますが、請負や委任契約の場合には、企業側と外国人が雇用関係にはないため労働保険は適用されません。労働保険の適用を免れる目的ではなく、契約の目的に合わせて使い分けることが重要です。

4.請負、委任の判断基準

 就労ビザには契約に関する規定があり、雇用のほか委任、委託などが含まれ、継続的な契約であればその形態は問いません。

 請負もしくは委任契約書を交わしていても、雇用契約なのか請負や委任契約なのかの判断は、実質実態で判断されます。依頼の諾否の自由、指揮監督の有無、拘束性・専属制、器具の負担などが基準となります。外国人がケガをしたときや職を失っとき、労働保険のトラブルとならないように契約しなければなりません。

2.外国人社員の適用と給付

1.雇用保険の適用除外

 労働保険の適用事業であれば、そこで雇用された従業員がすべて雇用保険に加入できるわけではありません。他の制度により失業時の保護が受けられる場合、就労時間もしくは雇用期間が短い場合などは雇用保険の適用を除外されています。

 外国人の場合、外国公務員や外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された者は、雇用保険の適用が除外されています。

2.パートタイマーなどの短時間就労者の取扱い

 雇用保険が適用されるためには、長期雇用の見込みと一定の時間以上の労働時間が必要です。あまりに短期間の雇用であったり1日の勤務時間が2~3時間程度であったりした場合、その者が離職したとしても、そもそも失業状態にあるとは判断されません。

 外国人がパートタイマーなどで勤務する場合も同様で、長期雇用の見込みとして「31日以上の雇用の見込み」、一定時間以上の労働時間として「1週間の勤務時間20時間以上」が雇用保険に加入するための要件とされています。

3.労災保険の給付

 就労ビザを所持している外国人社員はもちろんのこと、大学などの「留学生」または就労ビザを所持している配偶者などの「家族滞在」のビザで資格外活動許可を得てアルバイトしている場合も、アルバイト中の事故は労災保険が適用されます。

 労災保険の給付内容は、負傷、疾病などの療養に要した費用や休業補償、治癒した後に障害が残ったときの補償、死亡したときの遺族補償などです。

4.外国人の雇用状況の届出

 従業員が企業を自主退職、解雇などで離職した場合、雇用保険の給付を受けることができます。保険給付の中心である基本手当は、雇用保険に加入していた者が失業中の生活を心配せずに新たな職探しをできるために支給されます。

 平成19年10月1日から外国人の雇入れまたは離職の際、氏名、在留資格、在留期間などをハローワークに届け出ることになっています。オーバーステイの外国人や就労ができない外国人は、雇用保険の加入手続きをすることができません。

3.外国人の社会保険加入の判断基準

1.加入基準の“使用される者”

 法人企業の事業所は事業の種類を問わずに、常時1人でも法人に“使用される者”がいる場合、健康保険と厚生年金保険が強制的に適用となります。

 “使用される者”とは事実上の使用関係がある者のことをいい、雇用関係は絶対的な条件ではありません。単に名目的な雇用関係があっても、報酬が支払われていないなど事実上の使用関係がない場合には、“使用される者”とはなりません。

2.代表者1人の株式会社

 代表者1人で株式会社を設立した場合、代表者自身も法人から労働の対償として報酬を受けている場合には、法人に“使用される者”として健康保険と厚生年金保険に加入することになります。

 代表者1名、外国人社員1名というような小規模な法人であっても、株式会社などの法人は健康保険と厚生年金保険の適用事業所となりますので、本人の意思に関係なく強制的に保険加入となります。

3.個人事業の医療保険と年金

 株式会社などの法人とはせずに、個人事業主として事業を行っている場合は、国民健康保険と国民年金に加入することになります。個人事業の英会話学校で使用している英会話講師が1名というときは、その英会話講師も国民健康保険と国民年金となります。

 しかし、個人事業主であっても、一定の業種で常時5人以上の従業員を使用している場合には、健康保険と厚生年金保険の適用事業所となります。なお、一定の業種とは農林水産業、飲食業関連、法律事務所、宗教関連など、それら以外です。

4.健康保険と厚生年金保険の適用除外

 外国人を短期の契約社員やパートタイマーなどの短時間勤務で使用する場合、常用的な使用関係にはなく“使用される者”とはみなされない場合があります。

 適用事業所に使用される外国人社員であっても、2ヶ月以内の期間を定めている契約社員やパートタイマーなどで“1日の勤務時間がフルタイム社員の概ね4分の3未満”の場合や“1ヶ月の勤務日数がフルタイム社員の概ね4分の3未満”の場合は、原則として常用的な使用関係にはなく“使用される者”とはみなされません。

4.社会保険の被保険者

1.保険年金 同時に加入の理由

 社会保険庁の解体にともない、それまで1つだった健康保険と厚生年金保険の取扱い機関が2つに分かれ、健康保険は「全国健康保険協会」(通称:協会けんぽ)、年金は「日本年金機構」になっています。

 届出や申請により提出先が異なりますが、保険加入の手続きは健康保険、厚生年金保険とも年金事務所で一括して受け付けており、外国人社員が「健康保険だけ加入したい」といった場合でも年金事務所でそのような取り扱いはしていません。

2.健康保険の被扶養者の範囲

 健康保険では外国人社員の配偶者や子が「家族滞在」で滞在している場合、被扶養者として届出ることができます。被扶養者として認められた場合、従業員の配偶者や子なども保険診療を受けることができます。

 被扶養者の認定を受けるには、原則として年間収入が130万円未満であり外国人社員により生計を維持されていることが必要です。

3.社会保障協定

 社会保障制度はその国で就労している人を対象としているため、海外赴任する場合に出向先や派遣先国の保険料支払いの義務(属地主義)が生じます。さらに、母国の年金受給権や年金支給額は年金制度の加入歴が大きく左右されることが多いため、母国の年金制度に引き続き加入しているケースがあります。

 これらの保険料の“二重負担”や“掛捨て”の問題を解決もしくは軽減することを目的に、世界各国は個別に“社会保障協定”を締結しています。

4.年金脱退一時金

 一定期間以上、年金制度に加入していた外国人が帰国する場合、加入期間などに応じた脱退一時金を請求することができます。脱退一時金を申請するには、年金制度の加入期間が6ヶ月以上必要です。

 脱退一時金の支給を受けようとするときは、日本を出国後2年以内に脱退一時金裁定請求書に必要書類を添付して日本年金機構に郵送します。

5.外国人の労働保険・社会保険でよくあるご質問

不法就労者とは知らずに雇用していた外国人が、仕事中にケガをしました。労災の保険給付を受けられますか?

A.外国人社員がたとえ入管法による不法就労者であっても、労災保険の適用労働者となります。労災保険の適用は、在留資格の違いにより異なった取扱いはしていません。ケガが業務上の災害または通勤途中の災害であると認定されれば、労災の保険給付の対象となります。

指導・教育していた日本人上司と外国人社員が口論となり、腹を立てた外国人社員が上司にケガをさせてしまいました。労災の取り扱いになるのでしょうか?

A.日本人上司と外国人社員が口論となることはさほど珍しくなく、議論が活発しているともいえますが、どちらかがケガを負わせるとなるとこれは正常な状態とはいえません。業務中の出来事であっても、“業務起因性(業務との間に一定の因果関係があること)”がないため、労災保険の給付の対象とはなりません。しかし、暴行等の加害行為であってもそれが明らかに業務に関連しており、単なる個人的なうらみなどとは関係がない場合もあります。そうした場合は労災が認められることもありますが、個別の判断になります。

外国人社員が厚生年金保険の加入を拒否していますが、加入させなくてもかまいませんか?

A.日本の年金は「どうせ将来もらえない年金なら、加入する必要はない」として年金制度の加入を拒否する外国人が少なからずいます。日本は自営業者や無職の方も含めて、基本的に20歳以上60歳未満のすべての者が公的年金制度の対象になっています。これを国民皆年金といいます。企業に勤めている者は厚生年金保険と国民年金の第2号の被保険者となります。年金は“年老いて収入がなくなったとき”や“交通事故などで障害者になって働けなくなったとき”の生活保障の役割、「家族を残して死亡したとき」の遺族保障の3つの給付があります。自分のためはもちろんですが、家族のためにも年金制度に加入しなければなりません。

海外にいる両親も扶養親族にすることはできますか?

A 健康保険の被扶養者の要件である「外国人社員により生計を維持されている者」であれば、外国にいるご両親も健康保険の被扶養者として認められます。生計を維持されている状態とは、年収の見込みが原則130万円未満をいい、外国人のご両親の場合は同居が要件とされていません。管轄の年金事務所により異なることもありますが、届出には“親族であることの証明”、“年収に関する証明”や“送金していることの証明”などが必要です。

6.外国人社員の労働・社会保険手続サービス

1.サービスの概要

・ 外国人の採用、就労ビザ取得や労務コンサルテーションに精通したACROSEEDの社会保険労務士が労働保険・社会保険諸法令の手続きを代行します。

・ 外国人雇用の場合は請負や委任、契約期間や就労時間などさまざまな就労形態がありますが、それぞれのケースに対して雇用保険や社会保険の適用の可否を判断し、迅速かつ適切な保険事務手続を行います。

①保険関係書類の作成 ・ 外国人雇用に関して経験豊富な社会保険労務士が、書類作成を代行します。
②提出の代行 ・各種行政窓口(労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所、協会けんぽ)への手続・届出を代行します。
③法令チェック ・ 労働契約書などから就業形態を確認し、保険適用に関する法令チェックを行います。
・ 法令違反や将来のリスクを含む事項があれば、適正な労務管理体制を築けるようアドバイスをします。
④コンサルテーション ・ 社会保険労務士が、人事・労務に関するコンサルテーションを実施します。
・ 労使紛争が生じたときは、特定社会保険労務士(※1)が対応します。
⑤雇用契約書の作成 ・ 貴社で雇用される社員の方の雇用契約書、誓約書を作成します。
(※1)特定社会保険労務士
・ 厚生労働大臣が定める研修を終了し、紛争解決手続代理業務試験に合格した社会保険労務士
・ 労働者と経営者がトラブルとなった場合、裁判によらない解決を図ることができます

2.アウトソーシングサービス

(1)サービス内容

・一般企業で毎月発生する社会保険手続をひとまとめにした便利なサービスです。
・事務代行のほかにも、ご相談や調査の立会いなどにも応じます。

①コンサルテーション ・ 社会保険労務士が、人事労務に関するコンサルテーションを実施します。
・ 労使紛争が生じたときは、特定社会保険労務士が対応します。
②行政窓口への
 届け出代行
(1)労働基準監督署 (労働保険料の年度更新、36協定など)
(2)ハローワーク (資格取得・喪失届、離職証明書など)
(3)年金事務所 (資格取得・喪失届、算定基礎届、月額変更届など)
(4)協会けんぽ (出産手当金、傷病手当金など)
※重大災害などの特に複雑なものは別途協議させていただきます。
③雇用契約書の作成 外国人社員を含む、雇用契約書、誓約書を作成します。
④調査の立会い 各種行政窓口の調査などの立会いおよび是正報告書などの作成
⑤情報誌の発行 「人事・労務レポート」(1回/月)の発行

(2)アウトソーシングサービス費用

社員数
(保険加入対象)
サービス料金
/月額
社員数
(保険加入対象)
サービス料金
/月額
1~4人まで 10,500円~/月 50~99人まで 52,500円~/月
5~9人まで 12,600円~/月 100~149人まで 63,000円~/月
10~24人まで 21,000円~/月 150~199人まで 73,500円~/月
25~49人まで 36,750円~/月 200人以上 お見積り

※正確な料金はお見積りさせていただきます。
※本サービスはメンバーのみのサービスです。 左記金額に加えてメンバー契約が必要です。 (98,000円/年間)
※従業員数は事業主、パート、契約社員、嘱託社員、 アルバイトを含めた保険加入対象の人数です。
※サービス料金は対象月の従業員数によって決定させていただきます。

3.個別でのご依頼

・業務が発生するごとに個別にご依頼いただく方法です。
・業務量を気にせず発生ベースでお気軽にご利用いただけます。

(1)労働保険・社会保険の適用手続

(1)新規適用
①健康・厚生年金保険 42,000円 (従業員5人まで) 1人追加ごとに1,050円加算
②労災・雇用保険 52,500円(従業員5人まで) 1人追加ごとに1,050円加算
(2)適用廃止
①健康・厚生年金保険 73,500円(従業員5人まで) 1人追加ごとに1,050円加算
②労災・雇用保険 84,000円 (従業員5人まで) 1人追加ごとに3,150円加算

(2)月額算定・変更届(健康保険・厚生年金保険)

従業員数 サービス料金 /月額
従業員4人まで 31,500円~/月
従業員5~9人まで 42,000円~/月
従業員10~19人まで 52,500円~/月
従業員20~29人まで 63,000円~/月
従業員30人以上 お見積もり

(3)労働保険料概算・確定申告

(1)継続事業
従業員4人まで 31,500円~/月
従業員5~9人まで 42,000円~/月
従業員10~19人まで 52,500円~/月
従業員20~29人まで 63,000円~/月
従業員30人以上 お見積もり
(2)一括有期事業
一括有期事業 52,500円 (工事件数25件未満) 1件追加ごとに1,050円加算
(3)有期事業
有期事業 52,500円

(4)労働・社会保険の事務手続

(1)各届出、報告 21,000円~ 1件につき
(2)離職証明書の作成 5,250円 1人につき

(5)保険給付の申請請求

(1)健保・年金・労災給付請求 31,500円~
(2)高年齢雇用継続給付 15,750円~
(3)育児休業給付申請 15,750円~
(4)労災特別加入の給付請求 31,500円~
(5)その他複雑な請求 別途お見積もりとなります

(6)行政調査への立会い

52,500円~ 別途お見積もりとなります。
外国人雇用のご相談はこちらから
外国人雇用の基礎知識