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  2. 外国人雇用と保険手続
  3. 外国人社員の労働・社会保険手続

外国人雇用の基礎知識

1.外国人との契約関係

1.労災保険と雇用保険

 労働保険は、業務上の災害や通勤途中の災害による傷病等を補償する労災保険と、失業や雇用継続などのために給付金を支給する雇用保険を合わせた呼び方です。保険給付は労災保険と雇用保険で別個に行われていますが、保険料の徴収などについては1つの“労働保険”として取り扱われます。 

 従業員を1人でも雇用していれば労働保険は原則として適用事業所となり、外国人1人だけ雇用した場合でも労働保険は適用されます。

労災保険と雇用保険

2.雇用契約・労働契約

 雇用契約や労働契約は、働く側の者が「企業に使用されること」、企業側がそれに対し「給与を支払うこと」を決めたときに結ぶ契約です。“使用従属関係”といい、請負や委任の関係とは異なります。

 労働保険は国籍を問われませんので、雇用関係にある外国人社員が1人でもいれば労働保険の加入は強制です。なお、アルバイトやパートタイマーなどの名称や、短時間就労者などの雇用形態であっても関係ありません。

3.請負、委任・委託の関係

 請負契約は一方が“仕事を完成”すること、相手方はその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを決定したときに成立します。委任や委託契約は、一方が法律行為を相手に委託し、相手方がこれを承諾したときに成立します。

 請負や委任は雇用契約と類似していますが、請負や委任契約の場合には、企業側と外国人が雇用関係にはないため労働保険は適用されません。労働保険の適用を免れる目的ではなく、契約の目的に合わせて使い分けることが重要です。

4.請負、委任の判断基準

 就労ビザには契約に関する規定があり、雇用のほか委任、委託などが含まれ、継続的な契約であればその形態は問いません。

 請負もしくは委任契約書を交わしていても、雇用契約なのか請負や委任契約なのかの判断は、実質実態で判断されます。依頼の諾否の自由、指揮監督の有無、拘束性・専属制、器具の負担などが基準となります。外国人がケガをしたときや職を失っとき、労働保険のトラブルとならないように契約しなければなりません。

2.外国人社員の適用と給付

1.雇用保険の適用除外

 労働保険の適用事業であれば、そこで雇用された従業員がすべて雇用保険に加入できるわけではありません。他の制度により失業時の保護が受けられる場合、就労時間もしくは雇用期間が短い場合などは雇用保険の適用を除外されています。

 外国人の場合、外国公務員や外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された者は、雇用保険の適用が除外されています。

2.パートタイマーなどの短時間就労者の取扱い

 雇用保険が適用されるためには、長期雇用の見込みと一定の時間以上の労働時間が必要です。あまりに短期間の雇用であったり1日の勤務時間が2~3時間程度であったりした場合、その者が離職したとしても、そもそも失業状態にあるとは判断されません。

 外国人がパートタイマーなどで勤務する場合も同様で、長期雇用の見込みとして「31日以上の雇用の見込み」、一定時間以上の労働時間として「1週間の勤務時間20時間以上」が雇用保険に加入するための要件とされています。

3.労災保険の給付

 就労ビザを所持している外国人社員はもちろんのこと、大学などの「留学生」または就労ビザを所持している配偶者などの「家族滞在」のビザで資格外活動許可を得てアルバイトしている場合も、アルバイト中の事故は労災保険が適用されます。

 労災保険の給付内容は、負傷、疾病などの療養に要した費用や休業補償、治癒した後に障害が残ったときの補償、死亡したときの遺族補償などです。

4.外国人の雇用状況の届出

 従業員が企業を自主退職、解雇などで離職した場合、雇用保険の給付を受けることができます。保険給付の中心である基本手当は、雇用保険に加入していた者が失業中の生活を心配せずに新たな職探しをできるために支給されます。

 平成19年10月1日から外国人の雇入れまたは離職の際、氏名、在留資格、在留期間などをハローワークに届け出ることになっています。オーバーステイの外国人や就労ができない外国人は、雇用保険の加入手続きをすることができません。

3.外国人の社会保険加入の判断基準

1.加入基準の“使用される者”

 法人企業の事業所は事業の種類を問わずに、常時1人でも法人に“使用される者”がいる場合、健康保険と厚生年金保険が強制的に適用となります。

 “使用される者”とは事実上の使用関係がある者のことをいい、雇用関係は絶対的な条件ではありません。単に名目的な雇用関係があっても、報酬が支払われていないなど事実上の使用関係がない場合には、“使用される者”とはなりません。

2.代表者1人の株式会社

 代表者1人で株式会社を設立した場合、代表者自身も法人から労働の対償として報酬を受けている場合には、法人に“使用される者”として健康保険と厚生年金保険に加入することになります。

 代表者1名、外国人社員1名というような小規模な法人であっても、株式会社などの法人は健康保険と厚生年金保険の適用事業所となりますので、本人の意思に関係なく強制的に保険加入となります。

3.個人事業の医療保険と年金

 株式会社などの法人とはせずに、個人事業主として事業を行っている場合は、国民健康保険と国民年金に加入することになります。個人事業の英会話学校で使用している英会話講師が1名というときは、その英会話講師も国民健康保険と国民年金となります。

 しかし、個人事業主であっても、一定の業種で常時5人以上の従業員を使用している場合には、健康保険と厚生年金保険の適用事業所となります。なお、一定の業種とは農林水産業、飲食業関連、法律事務所、宗教関連など、それら以外です。

4.健康保険と厚生年金保険の適用除外

 外国人を短期の契約社員やパートタイマーなどの短時間勤務で使用する場合、常用的な使用関係にはなく“使用される者”とはみなされない場合があります。

 適用事業所に使用される外国人社員であっても、2ヶ月以内の期間を定めている契約社員やパートタイマーなどで“1日の勤務時間がフルタイム社員の概ね4分の3未満”の場合や“1ヶ月の勤務日数がフルタイム社員の概ね4分の3未満”の場合は、原則として常用的な使用関係にはなく“使用される者”とはみなされません。

4.社会保険の被保険者

1.保険年金 同時に加入の理由

 社会保険庁の解体にともない、それまで1つだった健康保険と厚生年金保険の取扱い機関が2つに分かれ、健康保険は「全国健康保険協会」(通称:協会けんぽ)、年金は「日本年金機構」になっています。

 届出や申請により提出先が異なりますが、保険加入の手続きは健康保険、厚生年金保険とも年金事務所で一括して受け付けており、外国人社員が「健康保険だけ加入したい」といった場合でも年金事務所でそのような取り扱いはしていません。

2.健康保険の被扶養者の範囲

 健康保険では外国人社員の配偶者や子が「家族滞在」で滞在している場合、被扶養者として届出ることができます。被扶養者として認められた場合、従業員の配偶者や子なども保険診療を受けることができます。

 被扶養者の認定を受けるには、原則として年間収入が130万円未満であり外国人社員により生計を維持されていることが必要です。

3.社会保障協定

 社会保障制度はその国で就労している人を対象としているため、海外赴任する場合に出向先や派遣先国の保険料支払いの義務(属地主義)が生じます。さらに、母国の年金受給権や年金支給額は年金制度の加入歴が大きく左右されることが多いため、母国の年金制度に引き続き加入しているケースがあります。

 これらの保険料の“二重負担”や“掛捨て”の問題を解決もしくは軽減することを目的に、世界各国は個別に“社会保障協定”を締結しています。

4.年金脱退一時金

 一定期間以上、年金制度に加入していた外国人が帰国する場合、加入期間などに応じた脱退一時金を請求することができます。脱退一時金を申請するには、年金制度の加入期間が6ヶ月以上必要です。

 脱退一時金の支給を受けようとするときは、日本を出国後2年以内に脱退一時金裁定請求書に必要書類を添付して日本年金機構に郵送します。

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