1. 外国人雇用.com
  2. 外国人雇用と罰則

外国人雇用と罰則

1.不法就労と不法就労助長罪

 不法就労の典型的な例としては、入管法で定められた活動以外のことを行なう場合が多く、エンジニアなどが持つ「技術」の在留資格で居酒屋で調理をしたり、工場内での単純作業などに従事している場合などが該当します。規定されていない業務に従事しているので「出入国管理及び難民認定法」に違反し不法就労となってしまいます。

 その他には、そもそも査証や在留資格を持たずに不法入国した者や、在留資格の更新手続きを行わずに不法残留となった者などが就労した場合も、不法就労とみなされます。

 実際に多いパターンとしては、入国時に査証が必要ない「短期滞在」などの在留資格で入国し、そのまま在留期限が切れても日本に滞在して就労を繰り返すというものです。このような外国人が就労した場合には、不法就労となり退去強制等に処せられます。

 一方、事業主側に課される処罰には不法就労助長罪があります。事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせたり、あるいは、業として外国人に不法就労活動をさせる行為に関しあっせんしたなど、外国人の不法就労活動を助長した者は、入管法第73条の2第1項の罪により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。

 また、集団密航者を本邦に入らせた者からその密航者を収受した上、不法就労活動をさせた者は、上記入管法第73条の2第1項の罪のほか同法第74条の4の罪により5年以下の懲役又は300万円以下の罰金(営利目的があれば1年以上10年以下の懲役及び1,000万円以下の罰金)に処せられます。

 なお、退去強制を免れるための目的で不法入国者又は不法上陸者をかくまう等の行為をした場合、入管法第74条の8の罪により3年以下の懲役又は100万円以下の罰金(営利目的であれば5年以下の懲役及び300万円以下の罰金)に処せられます。また、上記の入管法第73条の2第1項(不法就労助長罪)を犯した場合、労働者派遣事業、有料職業紹介事業の許可の欠格事由となります。

 上記のように、オーバーステイの外国人のみではなく、在留資格は保持しているが就労できない在留資格の外国人等を雇用した場合には事業主自身も入管法違反となり処罰の対象となります。そのため、外国人労働者と雇用関係を結ぶ場合には必ず事前に何らかの在留資格で在留する外国人であるのか、更には在留資格が認められていても就労可能かどうかの在留資格であるか、就労可能な在留資格でない場合には資格外活動許可を受けることの確認等が必要となります。

 もちろん、既に雇い入れている外国人労働者についても、雇用開始前に上記のような確認をしていない場合には当該外国人労働者の在留資格を確認することが先決です。また、在留資格等は把握しているが、在留資格で認められた活動内容と自社での職務内容が合致しないことを知りながら雇用した場合には、上記の不法就労助長罪の適用の対象となる可能性があるので、何らかの対処が必要となります。

2.在留資格取消制度

 入管法では在留資格取消制度を設け、外国人が以下の事由に該当する場合には現在所持している在留資格を取消す事ができる旨を定めています。

1.上陸拒否事由に該当している事を偽った場合
 ※退去強制され上陸拒否期間中の人間が、その事実を隠して氏名を偽って入国した場合など

2.活動内容を偽った場合 
 ※「留学」や「短期滞在」などの在留資格を所持しながら、就労が目的であった場合など。

3.1.2以外の内容を偽った場合
 ※申請人自身の学歴や職歴などを偽って入国した場合など。

4.申請人以外の者が事実と異なる文書等を提出したような場合
 ※就職先企業や受入企業などが虚偽の書類を提出して入国許可をもらっていた場合など。

5.所定の在留資格をもって在留する者が、その在留資格にかかる活動を正当な事由がないのに、3ヶ月以上行っていない場合。 
 ※学校を除籍された留学生などがその後も入学せず、留学生としての活動を行なう見込みがない場合など。

 上記1~2に該当するとして在留資格を取消された場合には退去強制手続きが執られ、3~5に該当する場合には30日を超えない範囲で出国猶予期間が指定されその間に任意出国することになります。そして、5に関しては、長期の療養が必要な場合や、就職先が倒産した場合など、原則として正当な理由がある場合には除外されます。

 さらに、無許可資格外活動の罪においては200万円以下の罰金となり、これは留学生が資格外活動許可を受けずに日雇いのアルバイトを行った場合などが該当します。留学生などをアルバイトとして採用する場合には、必ず資格外活動許可を取得しているかどうかを確認したほうが良いでしょう。

 このように不法就労外国人を雇用した場合、雇用した企業はもちろんのこと就労した外国人本人も在留資格を取消されるなどの処罰を受けることになります。不法就労者を雇用することにより、社会的イメージが低下し取引会社との関係が悪化することも十分に考えらます。採用してよいか判断に迷った場合には迷わずに入国管理局などに相談されることをお勧めします。

3.出国命令制度と入国拒否期間

 出国命令制度とは、2004年の入管法改正に伴い設立された制度で、日本に滞在する不法残留者に自主的に出頭させ出国させるための措置です。一定の条件を満たし、自ら出頭した不法残留者は身柄を収容されることなく日本から出国することが可能となり、通常、帰国後は入国拒否期間が5年間(場合によっては10年間)となるところを1年間に軽減されます。

自主出頭した場合のメリット
①身柄が拘束されない
②帰国後の入国許期間が1年間に軽減(通常は5年間、ケースによっては10年間)

 ただし、すべての不法滞在者が出国命令制度の対象となるわけではありません。出国命令制度の対象となり自ら出頭した場合にメリットを享受できるのは次の条件に該当する人です。

① 出国の意思をもって自ら入国管理官署に出頭したものであること
② 不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
③ 窃盗罪等の一定の罪により懲役又は禁錮に処せられたものでないこと
④ 過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
⑤ 速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること

 注意する点としては、①については、出国の意思があったとしても警察や入管などに逮捕されて退去強制となった場合には、自らの意思ではないので適用されません。また、②の不法残留とは、正規の在留資格を持っていた外国人が在留期限後も更新の手続きなどをすることなく、日本に滞在し続けることを言います。そのため、偽造のパスポートで入国した場合などには不法入国となり、出国命令制度の対象とはなりません。

 上記①~⑤の条件に該当する場合には、入国管理局へ出頭すると出頭からおよそ2週間程度で出国することが可能となります。出頭時にはパスポート(紛失している場合には身分証明書など)や外国人登録証明書などをもって出頭します。最終的には帰国のための航空券や予約確認書なども必要となりますが、ケースにより実際に出頭してから帰国するまでの日程が異なりますので、チケットを無駄にしないためにも一度出頭してから担当者の指示をうけて購入したほうが良いでしょう。

 以上が出国命令制度の概要ですが、帰国後の入国拒否期間には注意が必要です。というのは、入国拒否期間が経過することと、在留資格(ビザ)の申請が許可となる事は原則として別のことだからです。つまり、1年間の入国拒否期間が経過したとしても、在留資格認定証明書などの交付申請がなんらかの事情で不許可となれば、ビザが発行されず入国することはできません。通常、退去強制された人のビザ申請などは審査が厳しくなるため、上陸拒否期間が経過したからといってすぐにビザが発給されるとは限りません。そのため、慎重な対応が必要となります。

4.在留特別許可

 「在留特別許可」というのは、日本から退去強制され出国することを前提とした手続きの一環で行われる特例的な措置のことです。言い換えれば、不法滞在やオーバーステーなどで退去強制事由に該当し、本来であれば日本から退去強制させなければならない人を、様々な事情を考慮して例外的に日本での在留を認めるのが「在留特別許可」です。これを申請するには、退去強制手続きを受けなければなりませんので、結果として「在留特別許可」が認められなければ、当然に退去強制令書が発行され日本から出国しなければなりません。

 「在留特別許可」は法務大臣の自由裁量による問題とされており、法律上では在留特別許可を外国人本人が申請する権利は無いものとされています。申請するための権利がなければ、申請する手段が存在しないことになります。そのため、入国管理局などで「在留特別許可」について問い合わせをしても、場合によっては「そんな申請はありません。」と対応されることもあります。あくまでも「在留特別許可」を申請するためには「退去強制手続き」の申請をすることになります。

 また、最終的に法務大臣が「在留特別許可」を与えなかったとしても、その判断が自由裁量である以上、与えなかったこと自体が違法となる事は原則としてありえません。

 もちろん、その決定が不当であるかどうかと言う問題は残りますが、前述したとおり国際法上の一般原則にもあるとおり、どのような外国人の滞在を許可するかは主権国家の自由であり、外国人本人から在留を求める事を要求する権利はないとされているため、在留特別許可をもらう際の外国人の立場は非常に弱いものです。以下は在留特別許可に関する判例ですが、ここにも示されているとおり、“日本人と結婚すれば必ずビザがもらえる”といった単純なものではありません。

 ただし、一般的に「在留特別許可」が許可されやすい内容としては、次のようなケースが考えられます。
①日本国籍を持つ人と結婚した外国人
②「永住者」、「定住者」の在留資格をもつ外国人と結婚した外国人
③日本人との間に生まれた日本国籍の子の親である外国人

 当然、日本人と結婚していていも不許可となり退去強制になるケースもありますし、逆に結婚などしていなくても不法滞在をして日本に10年以上在留していた家族が許可された例もあるので、一概に上記のケースがすべてと言う事ではありません。あくまでも個別の状況に応じて判断されるものです。

外国人雇用のご相談はこちらから
外国人雇用の基礎知識